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異次元の少子化対策の財源に「社会保険料が狙いやすいワケ」 年金、介護よりも「医療」が本命視される理屈

子ども政策の司令塔となる「こども家庭庁」の発足式(4月3日/時事通信フォト)

子ども政策の司令塔となる「こども家庭庁」の発足式(4月3日/時事通信フォト)

結果的に子育て世代にとっても負担増の本末転倒

 俎上に載せられている医療保険とはどのような仕組みのものなのか。社会保険労務士の北山茂治氏が解説する。

「会社員の場合、一般的には協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)ないし組合健保(組合管掌健康保険)に加入しています。前者は中小企業の従業員、従業員の扶養家族(被扶養者)が加入するもので、後者が大企業の従業員、従業員の扶養家族(被扶養者)が加入しているものです。

 また、75歳以上の人または65歳以上75歳未満で一定の障害状態にある旨の後期高齢者医療広域連合の認定を受けた人が後期高齢者医療制度に加入しています。それ以外の自営業者らは国民健康保険に加入します」

 年齢や働き方によって加入する先は異なるが、特定の層に限らず保険料を負担しているのが医療保険というわけだ。ただ、今回の少子化対策の議論に先立って、すでに後期高齢者医療制度においては保険料の上限額を66万円から80万円にして、一定以上の年収の後期高齢者の保険料を引き上げる議論などが進んでいた。ここからさらに負担が増すことに理解が得られるのか。

 なにより、幅広い層に負担を強いるということは、結果的に子育て世代にとっても負担増となり、少子化対策として本末転倒なことにもなりかねない。こども未来戦略会議などでの議論の進捗を注視していかなくてはならない。(了)

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