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【食糧危機】日本人の食卓から野菜と卵が消え「コオロギとイモ」になる日

政府は農家を助けるどころか逆のことばかり

 いま日本の農業は危機的状況にある。肥料、飼料、燃料の暴騰で農家の生産コストが膨らむ一方、農産物価格はあまり上がらず、酪農、畜産、稲作をはじめ、農家は赤字とローン返済不能にあえぎ、廃業が激増している。

 国民の命を守るには、国内の食料生産を確保する必要があるのは当然だ。そのためにも、国内の生産基盤を増強し、苦しむ農家を助けなければならない。

 なのに、日本政府は、コメを作るな、牛乳は搾るな、牛を殺せ、ついには生乳廃棄と、まったく逆のことをやっている。補正予算が30兆円編成されても、農家の赤字を緊急補填する予算は皆無だった。

 このままでは、「農業消滅」が現実になってしまう。そうなれば、国民に食料を供給する国内生産がなくなり、有事に輸入が止まれば日本人は飢える。イモとコオロギ食でしのぐしかないのだ。

 防衛費は5年で43兆円に増やすという。だが、いざという時にトマホークをかじることはできない。コメを減産し、乳牛を殺し、牛乳を廃棄し、トマホークとコオロギをかじって生き延びる愚かさを、そろそろ真剣に考えるべきではないだろうか。

【プロフィール】
鈴木宣弘(すずき・のぶひろ)/東京大学大学院農学生命科学研究科教授。1958年生まれ。三重県志摩市出身。東京大学農学部卒。農林水産省に15年ほど勤務した後、学界へ転じる。九州大学農学部助教授、九州大学大学院農学研究員教授などを経て、2006年9月から現職。1998~2010年夏期はコーネル大学客員助教授、教授。主な著書に『農業消滅 農政の失敗がまねく国家存亡の危機』(平凡社新書)、『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』(文春新書)など。最新刊は『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』(講談社+α新書)。

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