吉田みく「誰にだって言い分があります」

郊外のマイホーム購入を「都落ち」と言われ… 落ち込む夫婦を救った子供たちの言葉

都心のビル街では味わえない体験が、郊外にはある(イメージ)

都心のビル街では味わえない体験が、郊外にはある(イメージ)

「俺も似たようなことを言われるよ」

 現在の状況をにこやかに話すサクラさんだが、つい先日まで、あることで頭を悩ませていたという。それは、職場の人たちの態度だった。

「私が埼玉に引っ越したことを『都落ちした』と笑っている同僚がいることを知りました。『○○市の土地って売るとき大変そう』『ご自宅は相当豪華なんでしょうね』とコソコソと話しているようです……。私の前では『素敵〜!』『うらやましい』と言ってくれますが、内心ではバカにされていたんだと思うと、とても悲しくなります」

 そのことを夫に漏らすと、夫も同じようなことで悩まされていることを打ち明けてくれたそうだ。

「『俺も周りに似たようなことを言われるよ。無理して高い都内の土地を買っていたほうがよかったのかな……』と悲しそうに話す夫の顔を見て、私まで辛くなりました。子供の将来のことも考えて夫婦で決めたマイホーム予算は、世間一般からしたら少なかったのかもしれません」

 職場の人たちの目を気にしすぎるあまり、一時期は住み替えも考えるほど精神的に参っていたと話すサクラさん。そんな状況を支えてくれたのは子供たちのある言葉だった。

「『虫がたくさんいたよ!』『近所の人たちがいつも挨拶してくれるから嬉しい』など、都内の生活ではなかったようなことを、子供たちが体験していることを知りました。以前はマンション暮らしで住民同士の接点はなく、高層ビルばかりの地域で虫も見ることはなかったです。マイホーム購入をきっかけに子供たちの心が育っていることに気づかされました」

 子供たちの言葉をきっかけに、自分たちの選択に自信を持てるようになったそうだ。最近の楽しみは車で郊外や山間部をドライブすること。都内からではアクセスしづらいような、いろいろな場所へ気軽に行けるようになり、視野を広くしていきたいと話していた。

 さまざまな理由から都内を離れる人は多い。なかにはその選択を見下すような態度をとる人もいるようだが、その地域ごとに魅力的な部分はあることを忘れてはいけない。(了)

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