投資

新NISAの出口戦略は「利益が出たら売る」 制度変更で“失敗を取り返すチャンス”も増えた

投信の積み立てでも、利益確定は大事

 次に投信(投資信託)を積み立てで買っていた場合はどうでしょう。この場合は株と違って、数年で何倍にも値上がりすることは稀です。穏やかな値上がりで安定的に資産を増やす商品なので、ちょっと上がったからといって細かく売るのではなく、なるべく長く運用を続けたいものです。その方が複利運用の効果も生かせます。

 ただ、逆に言えば「かなり利益が出ている」とか「お金が必要になった」のなら、迷わず売っていいでしょう。含み益はあくまで含み益にすぎず、その後に相場が急落したらどこかへ消え去ってしまいます。含み益がある時に利確して実現益に変えておくのは非常に重要で、相場格言の「利食い千人力」(利益確定には千人分の力がある)というのはこのことを指しています。

 また、現役時代に積み立てを続けていてそろそろ退職が近いとします。この場合、退職する日に合わせて投信を解約する必要は全くないので、退職前の数年間に相場状況を見ながら、少しずつ売っていくのがいいと思います。そうすればリタイア時に、退職金に加えてある程度の現金資産が確保でき、安心できます。もちろん、相場状況が悪くて売ると損が出るなら、そのまま持っておくのが正解です。

急にお金が必要になった時はどうする?

 株や投信を持っていて、急にお金が必要になった時はどうでしょうか。この場合は部分的に売る(取り崩す)ことができます(ただし証券会社の場合、現金で出金できるのは通常、売った日から3営業日目になります)。

 部分的にと書いたのは、初心者の中にはたまに「買った時と同じ量で売らなければならない」と思い込んでいる人がいるからです。つまりA 社の株を300 株買ったので、売る時も300 株まとめてでないと売れない、と。これは間違いで、「単元株」という単位で売れます。

 これは何株を一まとめとして扱うかという決まりで、今は多くが100 株単位です(REIT やインフラファンドは1株単位で、ETF の多くは1株や10株単位で売買できます)。今の例のA 社株も「単元株の100 株だけ売って、残りの200株は持ち続ける」ことができるのです。

 またSMBC 日興証券の「キンカブ」のように、一部の証券会社には株数指定でなく金額指定でも株を売買できる仕組みがあります。「100 銘柄に1万円ずつ投資する」とか「50万円必要なので、50万円分の株を売る」といったことができ、NISA 口座の非課税枠を余さず使うのにも便利ですが、一般的ではありません。

投信は金額指定で売ることができる

 投信はこの点が株より便利で、基本的に全ての会社で金額指定で売買できます。100 円以上1円単位といった細かい金額で部分的に取り崩して売ることも簡単ですし、最近では「定期売却サービス」といって、毎月一定の日に自分の決めた額を自動で売却して現金を受け取れる仕組みも出てきています(楽天証券、SBI 証券、フィデリティ証券、セゾン投信、SMBC 日興証券など)。このサービスを使い、年金の出ない月に定額で取り崩して生活費にあてるなどすれば、高齢者も何かと問題の多い「毎月分配型」投信を使う必要がなくなります。相場状況がどうあれ自動的に換金されてしまうのも、心理的に楽にお金が使えるからいいかもしれません。

 もう1つ、課税口座とNISA 口座で同じ商品を持っている場合を考えてみましょう。この時、どちらを先に売るかと言えば課税口座の方です。例えば配当の受け取りでも、課税口座の方は配当が出るたびに課税されて2割減になります。同じ商品なら、税制面で有利なNISA 口座の方を最後まで残しておくのがいいでしょう。

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