中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「ネットで揶揄の対象になることに理不尽さを感じる」 豪雨災害時の土砂撤去作業を手伝って感じたこと

豪雨災害で土砂の撤去を手伝う中川淳一郎氏(=右)

豪雨災害で土砂の撤去を手伝う中川淳一郎氏(=右)

土砂を一輪車に乗せて捨てていく作業を延々と

 実際の豪雨災害の現場とはどのようなものでしょうか。七山の現地へ行った時のことを書きます。ここは七つの山があるから「七山」という地名ですが、野菜や果物、玉子の一大生産地です。そして温泉もあるのどかな場所です。そんな場所にあるアートギャラリー・カフェの経営者と、唐津の移住者が集う会で出会いました。豪雨災害の直後のことです。そこで「今日は土砂の撤去が大変でした」と窮状を伝えられ、「明日、お手伝いに行きます」という約束をしました。

 翌朝10時30分に最寄り駅で待ち合わせをし、車で迎えに来てもらうことになったのですが、その駅に着く頃には再び猛烈な雨と雷。一旦家に戻り、夕方ギャラリーへ向かいました。その日は作業はできず、ギャラリー・カフェの2人と酒を飲みながら、色々と語り合いました。翌朝からは長靴を履き、スコップを手にして土砂を作業用一輪車に移し、それを川沿いの斜面に捨てて行く作業を延々続けます。

 1時間半ほどで恐らく2トンほどの土砂を捨て、一旦カフェで休憩。水とおにぎりをいただき、一息ついたら次々と近隣住民がカフェにやってきます。今回の豪雨がいかにすごかったかを彼らは語り、お茶を飲んでいく。

 そんな中、「七山たまご」で知られる「ななやま農園」の代表が前日カフェに来たことを聞きました。冷凍していたパウチの親鶏の肉が、停電により半解凍状態になり、売り物にならなくなった。そこで、近隣住民に「私も自分のところの復旧作業をしなくてはいけないので、皆さんのお手伝いはできません。申し訳ないのでこの鶏を受け取ってください」と、若者に託して配っていたのです。

 そうした経緯で、大量の鶏肉がカフェにはあったため、私は7袋を買うことにしました。「お金はいらない」と言われるも、それは申し訳ないからと最終的には7袋4000円で購入。これらは唐津の中心部の飲食店に配ったら喜んでもらえました。

 土砂はその後1時間ほどの作業ですべて撤去できたのですが、ギャラリー・カフェの2人は「この作業を私達2人だけでまたやると考えたらゾッとした。本当に来ていただきありがとうございます」と言ってくれました。困った時はお互い様、また何かあったら言ってくださいね、と伝え、我々は近くの温泉へ。

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