中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

国民がマイナンバーカードを作らないのは制度不信とは関係ない 「だって現状、不便がないから」

政府が進める「マイナンバーカード」交付申請

政府が進める「マイナンバーカード」交付申請

申請していない人々の2つの理由

 このようにメディアはことさらにその制度の信頼性について疑義を呈している印象ですが、しかしながらマイナンバーカードを申請しない人は、そこまで恐怖心を持っているわけではないと私は考えています。申請していない人々に話を聞くと、多かったのは以下2つの理由でした。

【1】申請をするのが面倒くさい
【2】現状、不便がない

【1】については、写真を撮影したり、どこかに保管したマイナンバーを見つけ出さなくてはいけず、さらに申請の手順が面倒と考える。どれだけ「スマホやPCでできますよ!」と利便性を伝えても「ワシはアナログ人間じゃ!」で終了。そんなことだから【2】の状態に至り、「別に困ってることはないからな。本当に必要なのであれば、その時に息子にでも頼んでやってもらえばいい」なんて高齢者は考えています。

 マイナンバーカードに肯定的な人は、この手の人々に対して「便利になるのをなぜ拒む?」「新しいものを恐れるのはバカ」「デジタル化に対応できないオワコン野郎」「メディアの恐怖煽りに乗っかる情報弱者」と散々な言いよう。しかし、申請しない人からすれば「だって不便がないから私の勝手でしょ? 不便な時が来たら作るよ」というのが本音なのです。

 海外に目をやると、アメリカのソーシャルセキュリティナンバーは広く普及(かつて約5年だけ住んでいた私でさえ今も保有しています)していますが、これがないと運転免許証も取れないし、社会保障も受けられない。申請が面倒だの、不便がないだの言ってる場合ではなく「必要不可欠」なんです。それでも「なりすまし」による税金の還付詐欺のような事例も発生しており、アメリカ人の中にも懸念を示す人はいます。

マイナポイントに対して「必死だな」

 まぁ、とはいっても申請するとマイナポイントが2万円分もらえる、というのに対しては「必死だな」や「何か裏があるのでは」と私のような天邪鬼は思います。しかも、マイナポイントがもらえるのは、当初は2023年2月までのキャンペーンだったのに、「第2弾」と題して2023年9月まで実質的な延長を行った。とにかくなんとしても申請させたいわけです。

 もちろん、マイナンバーカードが普及して役所の業務の簡略化を進むのであればそれは素晴らしいことでしょうが、未だに戸籍謄本やら印鑑やらが残っている現実があり、マイナンバーカード推進よりも先に廃止して手続きを簡略化できるものもあるのではないか、と思います。

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