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ビジネス

“21世紀のベンジャミン・フランクリン”オープンAIのサム・アルトマンCEOの投資力

オープンAIのサム・アルトマンCEOの凄さとは?(イラスト/井川泰年)

オープンAIのサム・アルトマンCEOの凄さとは?(イラスト/井川泰年)

 ChatGPT(チャットGPT)を提供するオープンAI社のサム・アルトマンCEOは、AIに限らず様々な分野の企業に投資している。いま世界で最も注目されている起業家・経営者・投資家であるアルトマン氏の凄さはどこにあるのか。経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。

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 生成AI(人工知能)「チャットGPT」を手がけているオープンAI社のサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)が立ち上げた「ワールドコイン財団」は、生体認証(虹彩)を使ってAIと人間を区別し、人間だけにIDを発行して登録するプロジェクトを世界各地で開始した。登録者にはデータ提供の対価として仮想通貨(暗号資産)の「ワールドコイン」25枚を無料で配布しているという。

 いま世界で最も注目されている起業家・経営者・投資家と言っても過言ではないアルトマンは、1985年生まれのユダヤ系アメリカ人で、スタンフォード大学を中退。2005年に19歳でスマートフォン向けの位置情報サービスアプリを開発する会社の共同創業者兼CEOとなり、2014年にはスタートアップ企業や起業家をサポートして事業成長を促進するアクセラレーター(起業家養成学校)「Yコンビネータ」社の代表に就任した。

 さらに2015年、テスラやスペースXなどのイーロン・マスクCEO、“ペイパルマフィア”(ネット決済大手ペイパル出身者のグループ)のドンと呼ばれる起業家・投資家のピーター・ティール氏らと共同でオープンAIを設立した。

 私は8年ほど前、自分が主宰している経営者の勉強会「向研会」の海外研修旅行でサンフランシスコのYコンビネータを視察した。

 同社には大きなステージがあり、そこに起業家が毎週入れ代わり立ち代わりやって来て新しいビジネスのプレゼンテーションを行なう。それに対し、アルトマンら同社スタッフや投資家、弁護士などが非常にシビアな質問や指摘を浴びせかけ、投資に値するかどうかを判断する。

 そして有望と見たスタートアップには、投資するとともに同社内のオフィスを無料で提供して3か月にわたって集中的に指導し、他のベンチャーキャピタルなどからも投資を受けられる状態まで育てるという仕組みである。

 アルトマンはYコンビネータの代表を5年ほど務めたが、その間に単純計算で250回くらいのプレゼンテーションに立ち会い、100社以上のスタートアップに投資しているのではないかと思う。つまり、彼はYコンビネータでの経験からアメリカの起業家について非常に豊富なデータと知識を蓄積し、最も旬なスタートアップを見抜く目利き鼻利きになったのである。

 報道によると、アルトマンはオープンAIとワールドコイン財団のほか、人の健康寿命を10年延ばすことを目標にするアンチエイジングの「レトロ・バイオサイエンス」社に1億8000万ドル(約250億円)、核融合発電の実用化を目指す「ヘリオン・エナジー」社に3億7500万ドル(約525億円)の個人資産を投資し、次世代型超小型原子炉を開発する「オクロ」社の会長も務めている。

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