ビジネス

【ガソリン代「トリガー条項」見送り】なぜ減税ではなく補助金を選ぶのか?「国会論戦を避けたい」岸田政権の姑息な本音

まさに「税金の塊!」ガソリン1リットルあたりの小売価格の内訳

まさに「税金の塊!」ガソリン1リットルあたりの小売価格の内訳

「政府の財布からお金が出ていくのは同じですが、官僚にとっては業界への差配力が強まる補助金のほうが、逆に弱まる減税より好まれる。特に減税を嫌うのが財務官僚で、岸田政権はその言われるがままやっているのかなとは思います。(価格変動による混乱があるという)デメリットを政府は言いますが、それが理由なら、徐々に減税幅が拡がり、価格高騰が落ち着いたら縮小する、という経過措置の作り方で対応すればいいだけ」

 減税を選ばないことについて“別の動機”を疑うのは法政大学大学院の白鳥浩教授だ。

「確かに、減税をやるには法改正が必要で時間がかかるから、現段階において補助金で対応するのは現実的なやり方ではあります。ただ気になるのは、国会が閉じている間に場当たり的に決める岸田流の政策決定のスタイル。一度法律で決めたことは変えないし、国会が開いていない時に重要なことを決める。非常に問題が大きいと思います」

 ガソリン価格の問題に限らない。健康保険証を廃止してマイナカードと一体化する方針が激しく批判されても変わらないのは、法律に廃止期日が書き込まれていることが影響したとされる。また、防衛3文書の改定や福島第一原発の処理水放出を決めたのは、いずれも国会閉会中だった。「国会できちんと議論することを避けているように見える」(白鳥氏)わけだ。今回のガソリン補助金拡充も、政府の判断一つで国庫の紐を緩めた。

「ウクライナ危機は長期化しそうで、場当たり的に延長した期日である今年12月でガソリン価格が落ち着くとも思えません。それなら抜本的な対策のあり方を国会で議論して仕組みを見直すべき。さもなくば際限のない税金の垂れ流しになる」(白鳥氏)

 なぜ、そこまで国会を避けるのか――。

「最大の懸案である防衛費増額の財源として、政府は、本来は被災地復興のために上乗せしている復興特別所得税を転用しようとしています。ガソリン減税を巡る議論から、“震災復興のための税金”の使い途に注目が転じ、本格的な増税批判へと飛び火するのを恐れているのではないでしょうか」(白鳥氏)

 国民生活を軽視する岸田政権に、国民から厳しい目線が向けられるのは当然だろう。(了)

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。