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人間の体に刻まれたリズムで記憶定着 精神科医が教える最強「スキマ15分読書術」

 単語が書かれたカードを連続して提示して記憶してもらう心理実験があります。しばらくして、どれだけ記憶しているかを再生してもらうと、最初と最後のほうに提示されたカードについての正答率は高く、中間のカードについての正答率は低くなるという結果が出ました。最初と最後は、集中力だけではなく、記憶力も高まるということです。

 15分で本を読むと、「初頭努力」で5分、「終末努力」で5分、合計10分の「記憶力の高い状態での読書」が可能になります。これを4回繰り返すと、60分中40分までもが「記憶力の高い状態での読書時間」になるのです。

 一方で60分連続で読書をすると、「初頭努力」で5分、「終末努力」で5分の合計10分しか「記憶力の高い時間帯」がありません。

 もちろん、邪魔が入らないような集中しやすい環境で読書すれば、60分の連続読書でも高い集中力を維持、発揮することも可能ですが、「15分程度のスキマ時間読書」の繰り返しでも、連続読書以上の効果が得られるというわけです。

人間が集中できる時間単位とは?

 人間の集中力には限界があります。何時間も連続して集中し続けることは、訓練されたアスリートや将棋の棋士であっても、できるものではありません。

 反対に、誰にでも集中しやすい時間単位というものが存在します。それは、「15分」「45分」「90分」です。私は、これをまとめて「15-45-90の法則」と呼んでいます。

 高い集中力が維持できる限界が15分。普通の集中力が維持できる限界が45分。「45分」の間、少し休憩をはさめば、90分の集中も可能です。

 小学校の授業は45分。テレビドラマもだいたい45分。大学の講義は90分。2時間ドラマというのも、CMを抜くと実質90分です。サッカーは45分ハーフの90分で試合が行われます。90分を超えたアディショナルタイムでミスが多発して得点が入りやすくなるのは、90分という人間の集中力の限界を超えているからです。

 人間の体には「ウルトラディアンリズム」という、約90分周期で眠気と覚醒が交互に訪れるリズムが刻まれています。睡眠のサイクルが90分であるというのも、同じ理由です。「45分」と「90分」に関する興味深い話はまだまだありますが、「スキマ時間読書術」において重要な時間の単位は「15分」です。

集中力を最大に発揮できる「15分」を上手に活用する

 極めて高い集中力が維持できる時間、その最小単位が「15分」。人間が、非常に高度な集中力を維持できる限界が「15分」ということです。

 例えば、非常に高い集中力を要する同時通訳者。この同時通訳の世界でも、「集中力の持続は15分が限界」といわれています。

 テレビの生中継など、同時通訳で放送される場合がありますが、番組の途中なのに通訳者が男性から女性に変わって「あれっ?」と思うことがあります。集中力持続時間の関係から、途中で通訳者が変わらざるを得ないのです。

 結論を言いますと、15分という時間は、脳科学的に見ても「極めて集中した仕事ができる時間のブロック」である、ということなのです。

 例えば、スキマ時間5分で本が10ページ読めるとします。その5分のスキマ時間が3回あれば、30ページが読めます。しかし、連続した「15分」があれば、30ページではなく40 ページは読めるのです。

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