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「2人に1人ががんになる時代」のがん保険の考え方 見極めるべきは「保険料に見合った保障かどうか」

がん保険をどう考えるか?(イメージ)

がん保険をどう考えるか?(イメージ)

 定年退職し、5年後には年金の受け取りが始まる──「高齢者」の仲間入りが間近に迫った60才を大きな節目として、老後の備えについて考え直す人は多い。退職金も年金も無視できないが、第一に考えるべきは「保険の取捨選択」だ。

 辛口保険評論家の長尾義弘さんは、入院などを保障する「医療保険」は、オーバー60でなくとも不要だと指摘する。

「そもそも日本の医療費は安く、公的医療保険によって自己負担額は3割で、後期高齢者の中には1~2割で済む人もいる。どんなに医療費がかかっても高額療養費制度を利用すれば一般的な所得の人の自己負担は月10万円もかからない場合がほとんどです。

 例えば、年金暮らしの人ががんになったとしても、高額療養費制度を利用すれば治療費の自己負担額は月に約6万円。住民税非課税世帯なら月に約2万5000円です。また、医療保険は入院しなければ給付金が出ないので、自宅での療養は対象外になります」(長尾さん)

 保険の営業でよく使われるフレーズに「2人に1人ががんになる時代です」というものがある。だが、日本人の半分ががんになるからといって、がん保険が必須というわけではない。大切なのは「がんになるかどうか」などではなく「払った保険料に見合った保障内容かどうか」だ。

 生命保険会社での勤務経験を持つファイナンシャルプランナーの横川由理さんの試算によると、65才女性が掛け捨て型のがん保険(診断給付金100万円、抗がん剤治療で月10万円給付など)に加入した場合、毎月の保険料は7160円。10年で86万円、20年なら172万円にもなる。これだけのお金を払っていても、がんにならなければ1円も返ってこず、すべて保険会社のものになってしまう。

 もしその保険料を貯蓄に回していれば、がんの治療費はもちろん、脳卒中や交通事故の入院でも、高齢者施設への入居費用でも、はたまた旅行や家のリフォームでも、何にでも使うことができただろう。

 もちろん、がん家系などで罹患リスクが高く特別に備えておきたい人にとっては、がん保険は有効なこともある。

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