閉じる ×
河合雅司「人口減少ニッポンの活路」

【物流崩壊】「2024年問題」を前に運送会社の倒産が急増 運転手の処遇改善が収益を圧迫する“負のスパイラル”

「2024年問題」に関連して、トラック輸送などを行なう企業を視察する岸田文雄首相(東京都大田区/時事通信フォト)

「2024年問題」に関連して、トラック輸送などを行なう企業を視察する岸田文雄首相(東京都大田区/時事通信フォト)

 トラックやバス、タクシーの運転手不足がもたらす「物流2024年問題」の深刻さがますます増している。来年4月からの制度改正を前に、運送会社の倒産や事業廃止が相次いでいるのだ。このままでは日本の“物流崩壊”が現実になるかもしれない──。ベストセラー『未来の年表』シリーズの著者・河合雅司氏(作家・ジャーナリスト)が、令和日本の大問題を検証する。【前後編の前編。後編を読む

 * * *
 荷物の輸送が滞る「物流2024年問題」を前にして、運送会社の倒産が急増している。

 帝国データバンクによれば、2023年1~9月の道路貨物運送業の倒産件数は220件で、前年同期の169件を大幅に上回った。9月時点で200件を超えたのは9年ぶりだ。このペースで推移すれば、年間の倒産件数は300件を超える可能性があるという。

 東京商工リサーチも同期間の集計を行っているが、前年同期比34.4%増となる234件にのぼる。過去10年間では、2014年の238件に匹敵する高水準だ。

 トラック運送業界の新陳代謝は著しい。退出事業者がある一方で新規参入も多いのだが、近年は新規参入事業者数の伸びが鈍化し、横ばい状態となっていた。ここにきて倒産件数が急増してきたということは、業界の本格的な縮小が始まるシグナルといえそうだ。物流崩壊は多くの人が想定するより早く到来するかもしれない。

次のページ:価格転嫁率わずか26.2%。立場が圧倒的に弱いドライバー

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。