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アイドルファン「推しが卒業・引退」で迎える岐路 「推し活やめる」「推し変」「さらなる沼」…それぞれの選択

いつかは「卒業」する可能性がある“推し”にどう向き合うか(イメージ)

いつかは「卒業」する可能性がある“推し”にどう向き合うか(イメージ)

 アイドルなどを熱心に応援するファンにとって重要な岐路となるのが、応援しているメンバー、つまり“推し”の卒業・引退や、推しているグループの解散だ。それまで愛情や時間、そしてお金を費やしていた存在がなくなってしまうことでファンの生活も変化を余儀なくされる。推しがいなくなったアイドルファンたちのリアルな生活の変化を追った──。

 都内に住む会社員の佐藤さん(30代男性・仮名)は、かつてとある女性アイドルグープのメンバー・Aさんの熱心なファンだった。

「偶然YouTubeでそのグループの動画を見て興味を持ちました。そこから関連動画でミュージックビデオなどを見漁っていたらいつの間にか、Aさんにどっぷりハマっていたんです。すぐにファンクラブに入って現場にも足を運ぶようになりました。ライブも行きましたし、お話会などの特典会も行きました」(佐藤さん)

 しかしAさんはグループを卒業し、芸能活動から引退してしまう。佐藤さんは大きなショックを受けたが、卒業までの短い時間で必死に“推し活”に励んだという。

「卒業が発表されたのは、実際に卒業する半年くらい前でした。そこから卒業に向けて現場も増えていくんですが、私はほぼすべてに行きましたね。地方にも遠征したし、有給休暇も使いました。会社を早退したこともありましたね。正直、多少生活に支障をきたしていた面もあったと思います」(佐藤さん)

 卒業までの短くも濃密な時間を過ごした佐藤さん。Aさんが卒業すると、我に返ったように、アイドル現場には行かなくなった。

「別にそのグループが嫌いになったわけではないんですが、推しがいないとやっぱり寂しくなってしまうし、素直に楽しめない。だから、卒業後はできるだけグループに関する情報も入れないようにしています。抜け殻みたいな感じです」(佐藤さん)

次のページ:卒業の先にあった「本当の沼」
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