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新NISAで「生涯投資枠を早く埋めよう」と考える落とし穴 大きく手ごわい「1800万円の壁」

 むろん、総資産の3分の2を株式で運用するのは少し比率が高すぎます。そのため、先ほどの図のケースでは、新NISAの生涯投資枠1800万円を埋め切るというミッションをクリアした時点で、いったん追加投資はお休み。現金比率を上げるため、貯金に励むべきだと思います。

 いかに「できるだけ早く1800万円を埋め切る」というのが新NISA攻略法だといっても、新NISAに投資する資金は、「月々の収入?生活費」の範囲内で収めるべきです。

 まだ貯金自体が100万円、200万円と少ない人は、毎月の余裕資金の半分は貯金に回し、残り半分を新NISAへの投資に充てるなど、工夫しましょう。新NISAへの月々の投資資金は「月々の収入?生活費と、貯金の額によって決まってくる」といっても過言ではありません。

特定口座の資金は新NISAに移し替え

 先ほどの例では、2024年の新NISA開始以前にすでに旧NISA口座に100万円、特定口座に100万円の運用資産がありました。

 2023年で終了する旧NISA口座の運用資産は、投資した年から、つみたてNISAなら20年間、一般NISAなら5年間、今後も非課税運用できます。わざわざ、非課税運用できる資産を現金化して、新NISAに移し替える必要はありません。

 逆に、新NISAの生涯非課税投資枠1800万円にプラスして非課税運用できる貴重な投資枠として、非課税期間終了まで運用を続けるべきです。

 しかし、特定口座で運用している資金に関しては今後、利益を確定したときにその約20%が税金として持っていかれてしまいます。

 2024年以降、年間360万円、総額1800万円までは非課税運用できるようになるわけですから、新NISAの投資枠に空きがある2024年早々に、いったん現金化して、新NISAに移し替えたほうが断然有利です。

 つまり、この例でいうなら、

・旧NISA口座の100万円はそのまま非課税運用継続。
・特定口座の100万円は売却して新NISAの投資資金に充てる。

 そして、残り1700万円の枠を月収50万円から月の生活費30万円を引いた月20万円で埋めていくのが、新NISA攻略の最適解になります。

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