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年金保険料負担増への対抗策 夫は60歳以降も再雇用、パート妻は稼ぎを増やして厚生年金加入を目指す

年金制度改正を見据えて、有利な働き方を変えたい(イメージ)

年金制度改正を見据えて、有利な働き方を変えたい(イメージ)

 2024年は5年に一度の年金財政検証の年で、それを踏まえた制度改正の骨格が見えてきた。政府は自営業者などが加入する国民年金の保険料納付期間を5年延ばし、65歳までとする方針だ。

 60歳定年で会社を辞めた人が、その後の5年間、国民年金の保険料(月額1万6520円)を支払うとなると、約100万円の負担増となる。同い年の夫婦2人なら約200万円の出費だ。“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾氏が言う。

「国民年金に5年長く加入しても、65歳以降の受給額は年10万円程度しか増えません。しかも、インフレ下では年金の実質価値を目減りさせるマクロ経済スライドが発動するので、受給額は実質8万~9万円増える程度。元を取るのに12~13年もかかる計算です」

 この制度改悪を見据えれば、「60歳以降も再雇用などで会社員を続ける」という選択が有力になってくる。

「仮に65歳まで月給18万円で働くなら、天引きされる厚生年金保険料は毎月1万6470円。国民年金の保険料とほぼ同額ですが、厚生年金加入者なら2階部分(報酬比例部分)も増える。そのぶん得と言えます」(同前)

“何歳まで第3号被保険者でいられるのか”が今後の焦点に

 ただし、今回の制度変更で注目しなくてはならない点は他にもある。会社員の配偶者が専業主婦(主夫)や所定の水準以下のパートで働いている場合、保険料を支払わなくても国民年金の加入期間にカウントされる「第3号被保険者」の扱いだ。

「現行制度では、会社員の配偶者が第3号被保険者でいられるのは60歳まで。国民年金の保険料納付期間が65歳まで延長された時に、“何歳まで第3号被保険者でいられるのか”が、今後の焦点です。政府には第3号被保険者を縮小したい思惑があるので、60歳に据え置かれる可能性もある。

 その場合、たとえば同い年の夫婦では、夫が60歳以降に会社員として厚生年金に加入していても、妻は60歳以降の5年間、国民年金の保険料約100万円を負担しなくてはならなくなる」(北村氏)

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