家計

老後不安が大きくなりすぎている日本 「引退後も金融資産がほとんど減らない」世界的にもおかしな状態

老後になっても、将来が心配で貯金を取り崩さない人が多い現実

老後になっても、将来が心配で貯金を取り崩さない人が多い現実

 多くの人が不安を抱える「老後資金」。“2000万円必要だ”という話もあれば、“もっと必要だ”という意見も聞こえてくる。実際のところはどうなのだろうか? 『家計ノート』で知られる家計のカリスマ講師・細野真宏さんが、消費者代表の「コロちゃん(以下コロ)」との会話形式で老後資金について解説します。【全3回の第2回。第1回から読む

ニュースでわかる「老後不安」が起こる仕組み

細野氏:日本ではあまりに金融・経済教育が放置されていて、「考えるための知識」がないことで老後の生活を不幸にさせている面があるんだよ。

 例えばテレビのニュースで年金を報道する際に街頭インタビューをして、「あなたは年金だけで足りていますか?」といった質問をするのが定番となっているよね。

 そこでインタビューされた引退世代の人は、「年金だけでは足りないから、貯金を取り崩さないといけないよ」と怒ったように答えているよね。その結果、ニュースを見ている人も「年金が少なすぎて将来が不安だ」と暗い気持ちになるんだ。

 でも、そもそもこれは「茶番劇だ」ということに気付かないと、いつまで経っても「老後不安」は消えないんだよ。

コロ:え、どうして茶番劇なの? だって、貯金を取り崩さないといけないのは、どんどん貯金が減っていくから大変だよね?

細野氏:一見するとそう思えてしまうところに、この話の根深さがあるんだ。日本は、「高負担・高福祉」のヨーロッパ諸国とは違って、世界的にも「低負担の国」なので、そもそも「年金だけで生活ができる」という設定になっていないんだよ。

 そして、「低負担の国」だからこそ、国に支払うお金が少なくて済み、その分を自分の預貯金に回すことができているわけだね。

 さらに、ここが「核心」なんだけれど、どうして「高齢者が貯金を取り崩す」ということに対して、「酷い」とか「可哀想」といった印象を持ってしまうのか、という点なんだ。

 だって、そもそも「貯金」は、「老後に取り崩すもの」だよね? 老後に取り崩さないのであれば、いつ取り崩すのかな? 老後に取り崩さないのなら、死んでから、ということになってしまうけれど……。

コロ:あっ本当だね! 何となく『取り崩す』という言葉にマイナスの印象が強くて思考停止していたよ……。貯金の意味を考えれば、テレビは、全く無意味な当たり前の質問をしているだけなんだね。

細野氏:そういうことだね。ただ、「年金」や「貯金」の意味も知らないようなメディアが、何も問題がないのに、いかにも問題があるかのように印象論で煽り続けている現実があるんだよ。

 このような結果、実は日本は世界でも「将来不安」がとても大きな国になっているんだ。

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