家計

細野真宏氏が解説する「老後2000万円問題」の誤解 最新調査で計算すると「800万円で十分」、平均的な収入の会社員なら「平均的な老後の暮らし」が可能

本当に必要な老後資金はいくら?(写真:イメージマート)

本当に必要な老後資金はいくら?(写真:イメージマート)

 多くの人が不安を抱える「老後資金」。“2000万円必要だ”という話もあれば、“もっと必要だ”という意見も聞こえてくる。実際のところはどうなのだろうか? 『家計ノート』で知られる家計のカリスマ講師・細野真宏さんが、消費者代表の「コロちゃん(以下コロ)」との会話形式で老後資金について解説します。【全3回の第1回】

コロ:老後は2000万円必要という話が有名だけど、医療や介護のお金が入っていなくて本当は4000万円必要という話もあるみたい。一体、何を信じたらいいのかな?

細野氏:まず、いわゆる「老後2000万円問題」というのは、計算する際に医療や介護のお金もすべて含まれているものなんだよ。だから、その話は単に不安を煽るだけの、おかしな論だね。

 また、そもそも「老後2000万円問題」というのは、実は「2000万円」というような固定された金額ではないんだ。そこで、すっかり「独り歩き」している「老後2000万円必要」という論の正しい考え方から解説するね。

「老後2000万円問題」の正体は?

細野氏:まず、この「老後2000万円」の金額は「どこから出てきたのか」というと、金融庁が2019年にまとめた報告書に、その金額があったんだ。そして、メディアがそこだけを報道して「そんなに貯められない!」といった声が広がったんだよ。

コロ:つまり、国が「老後に2000万円が必要になる」って言ったんだね?

細野氏;いや、多くの人たちが未だに誤解しているみたいだけれど、実は国は「老後に2000万円が必要になる」といった、いい加減な話はしていないんだよ。

 要は『家計ノート』読者ならお馴染みの、全国の平均を知るための、総務省「家計調査」から国が「老後に必要になる金額」を計算して紹介しただけなんだ。

コロ:ということは、全国平均の老後の支出から老後の収入を引いて、それが2000万円になった、という話なの?

細野氏:そういうことだね。だから誰でも計算できる、何ひとつ特別なデータを使っていない「当たり前」の話だったんだけれど、なぜか突然、「老後2000万円問題」という凄いブームができてしまったんだよ。

 そこで、この時の計算を実際に確認して、あらためて「老後2000万円」の話を考えてみよう。

 使われたのは総務省の2017年「家計調査」のデータ。これは2019年『家計ノート』の『「節約力」を磨くために押さえておくべき金額!!』(以下、「金額コラム」)のQ31で、『65歳以上の世帯における1か月の「支出」の平均額は?』があるんだ。

 そこでは「21万2088円」(2017年)となっているんだよ。

 もちろん、この総務省の「家計調査」では、医療費も介護費もすべて含まれた金額になっているんだ。

 ちなみに、『家計ノート』の場合「高齢世帯」についてはキチンと「1人の世帯」や「働いている世帯」も含まれているんだけれど、金融庁の報告書では「高齢世帯」を「高齢夫婦で無職世帯」として、「夫65歳以上で妻60歳以上の、夫婦のみの無職世帯」と限定しているんだ。

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