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改正国立大学法人法に潜む問題点 「政府の締め付けを強めている」「文科省の旧弊を象徴」と大前研一氏が警鐘

 改正国立大学法人法は、大学の国家管理という恐ろしい問題につながってくる。NHKは毎年度の収支予算、事業計画及び資金計画を総務大臣に提出して国会の承認を得なければならないし、NTTは役員人事や毎年度の事業計画、定款の変更など何でもかんでも総務大臣の認可を受けなければならない。いわば間接的な国家管理だが、国立大学もそうなりかねないと思う。

 文科省が日本の大学を国際競争力があるものにしたいと本気で考えているのであれば、国家管理とは正反対の完全自由化に向かわなければならない。しかし実際は、ますます政府の締め付けを強めているわけで、21世紀の教育を全く理解していない文科省の大臣や役人はあまりにも旧弊であり、暗澹とするばかりだ。

 日本が世界のどこでも活躍できる優秀な人材を生み出して先進国であり続けるためには、文科省を解体して新たな「能力開発省」を創設するしかないだろう。

【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『日本の論点2024~2025』(プレジデント社)など著書多数。

※週刊ポスト2024年1月26日号

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