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【個人投資家が知っておくべき「金融商品の手数料」の正体】「仕組債」と「ラップ口座」の不透明さ、二重取り・三重取りされていないか要注意

「金融商品の手数料」には要注意(イメージ)

「金融商品の手数料」には要注意(イメージ)

 2005年に公表が最後となった日本の長者番付で一介のサラリーマンにも関わらず1位にランキングされたのが「タワー投資顧問運用部長」の清原達郎氏だった。その後20年で実に個人資産800億円超、投資顧問会社でヘッジファンドを運用し、通算9300%という驚異の実績をあげ「伝説のトレーダー」と呼ばれたが、2023年にファンドを閉じ、引退した。清原氏がその投資哲学、ノウハウを余すことなく明かした話題書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社)より、清原氏が「金融商品の手数料」について解説する。

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 気を付けないといけないのが様々な金融商品の手数料です。K1ファンドは手数料1%(他の費用を入れると1.2%)、成功報酬20%のいわゆるワン・トウェンティーストラクチャーで、スタンダードな手数料です。自分で言うのも何なんですが、我々のK1ファンドも手数料が高すぎると思っていました。かなりのパフォーマンスを出さないととても正当化できる手数料ではありません。

 長期的な資産運用で運用フィーが1%の日本株のアクティブ運用の投資信託などはどうなのでしょう。1%はまだいいほうでもっと高いものもあります。そもそも金利がゼロに近い日本で株式の平均期待リターンはどれほどあるのでしょうか。たぶん3%ぐらいですよ。それで1%手数料取ったらリターンの3分の1じゃないですか。取りすぎですよ。

 TOPIXに1年で2%勝ったとかでは1%の手数料に見合わないと思います。最低、年間5%はTOPIXに勝たないと。20年なら、少なくともパフォーマンスが数倍にならないと費用を正当化できないと思います。

 投資信託やヘッジファンドにはサバイバーシップ・バイアス(生存者バイアス)が強く働きます。ファンドの成績が悪いとお金が集まらなくなったり、解約で資金が流出したりしてファンドが閉鎖になることがあります。そうなると、今生き残っているファンドのリストから外れます。今のファンドばかりを対象に平均的なリターンを計算すると、実際より成績が良く見えてしまうというバイアスです。

 日本株のアクティブ運用の成績は、総じていえば手数料の安いパッシブ運用に負けていると思ったほうがいいのでは。アクティブ運用の投資信託の販売手数料が3%なんていうのは論外ですよ。販売手数料とかがあるから、投資信託まで高速回転商いになるわけで。

 でも、私が「ハードルレートがゼロなので勧めない」といった和製ヘッジファンドも我々のK1ファンドも、日本株の投資信託も、手数料については高い低いは別にしてきっちりわかりやすく開示しています。だから証券会社は「顧客はわかったうえで投資している」と一応主張できます。

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