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【きょうだいトラブルの火種に】「家族信託と遺言書」に潜むリスク 親が認知症になる前に家族全員で確認すべきこと

遺言書も“きょうだいトラブル”の種になりかねない(写真:イメージマート)

遺言書も“きょうだいトラブル”の種になりかねない(写真:イメージマート)

 親の介護のなかで多くの家族が頭を悩ませるのが「認知症」の問題だ。親が認知症を患うと、口座が凍結されたり、所有する不動産の売却や修繕ができなくなる。施設入居の費用捻出などに際して、親の資産を活用できなくなってしまうのだ。

 そうした問題に備えるためにあるのが「家族信託」である。『日本一シンプルな相続対策』の著書がある税理士・牧口晴一氏が解説する。

「家族信託とは、子供が親に代わって財産の管理や処分ができる契約を指します。親が財産の管理・処分を託す『委託者』であり、かつそこからの利益を得る『受益者』になり、子供のうちの誰かが契約に基づいて財産の管理・処分を担う『受託者』になるものです。“生前相続”のようなかたちの契約で、財産の名義だけが先に子に変更される。契約によって利益を得るのは親なので、贈与税もかからない仕組みです」

契約内容を他のきょうだいに知らせてないと…

 うまく活用すれば、親の認知症発症後に実家を売却して施設入居費が賄えたり、親が持つアパートの修繕や新規の入居契約を続けることで賃料収入を介護費用に充てたりもできる。家族の心強い味方となり得る仕組みだが、一方で“きょうだいトラブル”の火種になることもあるので注意が必要だ。牧口氏が続ける。

「家族信託は親が自分の財産を子供のうち誰か1人に任せるという契約で、基本的に親子2人が合意すれば成立するものです。しかし、受託者となった子供に権限が集中するので、他のきょうだいが後から契約について知る流れだと揉める原因になりかねません。家族信託は、親の死後は託した財産をそのまま受託者の子が相続するといった内容にもできるので、遺言書の役割を兼ねられるのですが、そうした契約内容を他のきょうだいに知らせていないと揉めるリスクが非常に高くなります」

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