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【サービス解禁】ライドシェアのドライバーが語る実態と課題 「1日4時間で平均1万円の収入」でも「稼働は平日午前中のみ」にした理由

乗務前のオンライン点呼ではアルコール検査も必須(筆者撮影)

乗務前のオンライン点呼ではアルコール検査も必須(筆者撮影)

クルマは「緊急自動ブレーキの装備が必須」

 クルマさえあれば誰でもライドシェアを始められるというわけではない。タクシー会社に登録する必要があり、それにはいくつか条件がある。

「ドライバーは、運転経験が10年以上、無事故2年以上が条件。車両については、緊急自動ブレーキの装備が必須で、新規登録から10年以内、5人乗り以上のクルマという条件がつきます。これらの条件だと、年齢は必然的に28歳以上になり、車両も軽自動車はダメで、比較的新しい普通車が必要になる。

 1日4時間稼働で1万円前後稼げるなら、割が良さそうに見えますが、タイヤ代やオイル代などが別途かかり、すべて自己負担です。すでにクルマを持っている人ならいいが、ライドシェアのために新たにクルマを購入して始めるのは、収支的にけっこう厳しいでしょう。若い人が参入するにはハードルが高く、実際、初日の点呼(オンライン)に参加していた3人の内、私以外の2人は白髪の初老男性でしたね」

 今の条件のままだと、ドライバーの若返りもあまり期待できないという。

 二種免許を持っていな人がタクシーとして営業することに、「安全性に不安がある」といった意見も聞かれる。登録した後、タクシー会社ではどんな研修を受けるのか。

「健康診断と適性検査を受けて、簡単な安全講習があって、『じゃあ、運転してみましょうか』とタクシー会社の人を乗せて30分ほど運転しました。『交差点を左折するときには、道路の左側に寄せてください』とか、本当に基本的なことだけ。『ハンドルは必ず両手で握ってください』と言われましたね。見た目が悪いそうで、お客さんから苦情が来るようです。

 二種免許と運転のうまさは関係ないと思います。プロのドライバーでも、急発進、急加速を繰り返す人はいるし、タクシーが事故を起こしているシーンはよく見ますよね」

 実際に、走行距離1億キロあたりの事故件数は自家用車やバスなどに比べてタクシーが突出して多く、特に空車時の件数は実車時に比べて2.8倍(2021年)も多い(国土交通省「事業用自動車の交通事故統計(令和3年版)」より)。客を探すために歩道ばかり見ていることや、長時間の労働、運転手の高齢化など原因とされている。ライドシェアの場合は、タクシーアプリからの配車だけなので、歩道を気にする必要はなく、稼働時間も短い。現時点では、どちらが安全かは一概には言えないだろう。

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