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キャリア

老後資金の不安を解消するには60歳以降の支出を「見える化」しよう 変化の大きい5大支出は「住宅ローン」「教育費」「生命保険」「リフォーム」「介護」

住宅ローンの繰り上げ返済は慎重に判断すべき

 マイホームを購入した時期にもよりますが、返済期間30~35年で住宅ローンを借りていた場合、60代で返済が完了する人が多いでしょう。まず確認したいのは最新の残高、現在の毎月返済額、借入金利は変動か固定か、そして返済完了は何年後かです。

 日本銀行が金利を引き上げているため、変動金利で借りている人は返済額が増えているはずです。とは言え、当初借りた金額と比べると残高はかなり少なくなってきているはずで、残高が少なくなっていれば金利上昇による返済額の増加は限定的です。焦って繰り上げ返済する必要性は低いでしょう。

 60歳で退職金を受け取ったら全額繰り上げ返済しようと考える人もいますが、繰上げ返済してしまうと、団体信用生命保険がなくなり、手元資金もなくなるため、全額繰り上げ返済は慎重に検討すべきです。

 ある程度投資経験がある人は手元資金をNISAで投資しながら、当初の予定通りに少しずつ返済していくことで効果的に資産形成を進められる可能性が高いと言えます。

子どもの教育費負担が終われば家計はラクに

 30~35歳くらいで子どもが生まれた場合、50代には子どもが大学卒業を迎えるはずです。子どもが2人、3人といれば60代以降も教育費負担が続く人もいるでしょうが、一般的に60歳前後で子どもの教育費負担が終了する人が多いはずです。一人あたり年間100万円程度の教育費負担が終われば、家計としてはかなりラクになります。

 教育費負担が終わるということは子どもが社会人として働き始めるということ、そうであれば万が一に備えた生命保険の必要性は大きく低下するはずです。生命保険を見直すべき時期と言えますので、必要となる保障を確認し、最低限必要な保障になるよう、見直しておきましょう。不要な保険料がカットできれば、家計もラクになります。

民間の医療保険の必要性は高くない

 また、入院した場合に1日あたり5000円や1万円を受け取ることができる医療保険についても、加入している場合は必要性を再確認しておくとよいでしょう。日本は国民皆保険ですから、誰もが公的医療保険制度に加入しています。あまり知られていませんが、高齢期になっても、医療費負担はそれほど大きくなりません。

 次のグラフは年齢階級別の年間の医療費、自己負担額、健康保険料です。

出所:「年齢階級別1人当たり医療費、自己負担額及び保険料の比較(年額)」(令和4年度 「医療保険に関する基礎資料」厚生労働省)

出所:「年齢階級別1人当たり医療費、自己負担額及び保険料の比較(年額)」(令和4年度 「医療保険に関する基礎資料」厚生労働省)

 60歳以降、医療費は38万円から90代後半の125.8万円まで大きく上昇していきます。しかし、公的医療保険制度に加入していれば原則として3割負担(年齢によっては1~2割負担)です。

 さらに1ヶ月あたりの医療費の自己負担額が大きくなった場合は収入水準などによって自己負担限度額が定められている高額療養費制度があります。実際、上のグラフを見ても、年間の自己負担額は70代以降で年間7万~9万円程度、健康保険料の5万~13万円程度を加味しても、年間の負担額は20万円以内に収まっています。こういった状況を考慮すると、民間の医療保険の必要性はそれほど高くないのです。

次のページ:マイホームの修繕やリフォームの費用は計画的に準備する

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