「同居」の方がお金の負担は少ない
終の棲家は「どこに住むか」だけでなく「誰と住むか」も重要だ。金銭的には、子供とは「別居」よりも「同居」の方がお金の負担は少ない。
「住居費や光熱費だけでなく、食費も折半できます。介護が必要になってからも、家族が一部を担うことで介護費用やサービス利用の頻度を減らすことができる。また、祖父母が孫の面倒を見れば保育関連の出費の節約につながるので、子供世帯の節約にもなります」
いずれ介護が必要になる可能性があることを考えると、金銭面以外にも同居のメリットは大きい。
「家族に介護される安心感が得られるほか、孤独感が解消されることで、うつや認知症の軽減につながるケースもあります」(黒田さん・以下同)
コストがかからないのは「自宅」だが安心な生活は「施設」
人生の最期の瞬間を迎える場所も、お金のことだけを考えるなら、できれば「自宅」を選択したい。
「人生の最期を迎える前の一定期間を施設や病院で過ごすとしたら、病院だとたとえ高額療養費制度が適用されても、医療費の自己負担額だけでも月に約5万~8万円、個室ならさらに差額ベッド代もかかる。介護施設だと医療への依存度次第ですが、月額約18万~30万円は必要です。一方自宅なら、在宅介護に必要な訪問医療、バリアフリー、介護用具などは月5万~10万円程度で済みます」
だが介護期間や必要なケアによっては、それ以上の費用がかかることも少なくなく、本人や家族の生活費や移動にかかる費用も合わせれば、「特養」や「老健」といった比較的費用のかからない施設よりも高くつく場合もある。
病状や要介護状態、家族の有無によっては、「病院」や「施設」を選ばざるを得なくなるケースも少なくないということだ。
「在宅介護は家族の負担が想像以上に大きく、夜間のサポートや在宅支援の体制が整っているかどうかは、住んでいる地域によって変わります。“最期は家で”というのは、状況によっては簡単ではありません。家族に負担をかけない方法をあらかじめ考えておきましょう」(明石さん)
※女性セブン2025年7月3・10日号