ゴリ押ししてやって来た客は、そもそもそのルールを知らなかったのか、あるいは確信犯的に「行けば何とかなるだろう」という楽観があったのかわかりませんが、店としてはレビューによる報復をくらったらたまったものではない。
こうなったら双方が不幸せなわけで、自社ホームページやSNSのプロフィールで「禁止事項」「ルール」を明記する店も増えてくるのではないでしょうか。グルメサイト・予約サイトでも、一つの項目として「ルール」や「禁止事項」を運営側が付け加えることになるかもしれない。特にない場合は無記入で構わない。
私が以前、よく行っていた定食屋は、「ご飯のおかわりをした場合、米粒一つでも残すと500円」というルールがありました。そこそこの量を残し500円を請求された客はブツブツと文句を言っていましたが、それ、店内の張り紙にも大きく明示されているし、おかわりの時に店員から念押しされていましたよね? これは客が悪い。
終始「コレじゃない……」という気持ちに
とはいっても、私自身も店独自のルール、というかこだわりに戸惑ったことはありました。特に事前情報なしで入ったトンカツ屋での小さな出来事です。ヒレカツ定食を頼んだのですが、肝心のものがない。ソースです。皿の上には岩塩とレモンとワサビ、それにおろしポン酢はあります。しかし卓上にソースがない。千切りキャベツにはドレッシングがかかっている。
頭の中が「トンカツ!」と決まった時、口の中は濃厚なトンカツソースをカツにかけ、辛子をつけ、少しソースをかけた千切りキャベツとともにパクリとやり、ご飯を食べる! というゴールデンコースが出来上がっていたのですが、ソースがない……。確かにおいしい岩塩ではあったのですが、終始「コレじゃない……」という気持ちになってしまいました。カツ自体は非常に美味だったのですが、ソースだったらもっとウマかったのにな、と思いました。
となると、やはり「当店はソースはありません」とキッパリと明示しておいてほしい。入口の看板や、ドアに貼られた営業時間・定休日情報に加え、その店特有のルールは明記しておいてほしいのです。当然予約サイトや公式サイト・SNSでも。塩でトンカツを食べるのが好きな人もいるでしょうが、「トンカツ屋にはソースがあるはず」と考える人は95%を超えるのでは。