安い物件には理由がある?(イメージ)
賃貸物件に住む場合、家賃は極力抑えたいもの。ただし相場よりも家賃が“かなり安い”物件には、それ相当の理由がある。事故物件と呼ばれるような“瑕疵”がある物件ならまだわかるが、そうでない場合はどのような事情が考えられるのか。実際に相場より5万円も安いという破格の物件に住んでいる男性に話を聞くと、「許容範囲ではあるけれど、環境に難がある」とその事情を明かしてくれた。安い家賃のカラクリを読み解く一例として紹介しよう。
1か月も経たないうちに覚えた違和感
マスコミ関連企業に勤務するAさん(50代男性)は、東京23区内の住宅地にある5階建ての低層マンションに妻と2人で住んでいる。間取りは2LDKで60平方メートルほど。同エリアで同じくらいの広さの物件なら、家賃の相場は20万円から22万円くらいだ。しかし、Aさんが住んでいる物件の家賃は16万円。実に相場より5万円ほど安い。
「このマンションに引っ越してきたのは6年前です。不動産店で物件を探していた時に、“とっておき”といった感じで提示されました。最寄り駅から徒歩10分、当時で築年数は10年。まだまだ新しいし、夫婦2人で住むには十分な広さで、なおかつ家賃がとても安い。事故物件でもないとのことで、すぐに内見に行きました」(Aさん、以下「」内同)
不動産業者とともに、そのマンションに内見へ行ったAさん。第一印象もよかったという。
「とてもきれいな物件でした。オートロックではなく、宅配ボックスがないのはややマイナスポイントでしたが、室内の設備は新しく、収納も十分。家賃が安いということを考えると許容範囲。即決で借りることにしました」
いざその物件に引っ越したAさんだったが、住み始めて1か月も経たないうちに違和感を覚えるようになった。
「隣には40代同士ぐらいの夫婦と幼稚園に通う子、赤ちゃんの4人が住んでいたのですが、週に1~2回、隣の部屋からバタバタと暴れまわっているかのような音が聞こえるんです。小さい子がいるから仕方ないと思っていたんですが、『ガッシャーン』とものを投げつけているような音や激しく泣き叫ぶ声がすることもあって、穏やかではないなと感じていました。やんちゃな子なのかなと思いつつも、ドカドカと物音がしたあとに泣き声が聞こえてくると、心配にもなってきて……。虐待じゃないかと、嫌な想像までしてしまいました」
数年が経ち、物騒な物音の頻度は下がってきたものの、相変わらずさまざまな音が響くという。
「たまにお隣さんと挨拶をするタイミングがありますが、至って普通。ただ、子供が暴れていたり、おそらく大人の大きな足音は月に1回ぐらいは聞こえてきます。単純に建物の作りとして、音が伝わりやすいということなのかなと思います。私は慣れましたが、神経質な人ならクレームを入れるレベルかもしれない」