「必ず暴落することがあるのが株式市場のルール」というsatoさんのX
元消防署のレスキュー隊員だった個人投資家のsatoさん(42)は、95万円を元手に株式投資の知識がまったくない状態で「なんとなく」投資を始めた。そこから12年、資産は約200倍超、2億円にまでなった。投資について何も知らなかったデイトレーダー時代から、有名投資ブロガーの影響で始めたグロース投資で資産を1500万円に増やし、その後、企業の資産に着目するバリュー投資への転換で“億り人”になった現在までを語ってくれた。
大事なことは、正しく予測することではない
「国内外の情勢が株式市場にどんな影響を与えるのか、僕にはまったくわかりませんし、専門家の予測も必ず当たるというわけでもありません。大事なことは、正しく予測することではなく、どういう事態になってもいいようにポートフォリオをバランスよく構築しておくことです。
例えば、為替が円安・円高のどちらに振れてもいいように、保有する銘柄を輸出企業と内需企業の半々にするとか、ハイリスク・ハイリターンの銘柄と堅実な銘柄の両方を持つといったように、何があっても傷を浅くする意識が重要なのだと思っています。だから、昨年8月の日銀による追加利上げで暴落した“植田ショック”も、今年4月の“トランプ関税ショック”による急落も、僕の投資行動には何の影響もありませんでした。
もうひとつ大事なことは、『中長期的に見れば、必ず暴落することがあるのが株式市場のルール』であると常に認識しておくことです。この意識で相場の動きを冷静に見ていれば、狼狽売りをすることもないし、精神的にも穏やかでいることができます」(以下、「」内はsatoさんのコメント)
達観の境地で腰を据えて投資しているように見えるsatoさんだが、ここに至るまでには紆余曲折があったという。
「投資を始めたのは、結婚がきっかけでした。妻と僕それぞれ車を持っていたのですが、2台は必要ないだろうと僕の車を処分することになって、その売却代金95万円を自分が自由に使っていいことになりました。その時に『なんとなく』思いついたのが株式投資で、2013年のことでした。
最初の1年間はわけもわからずデイトレをしていましたが、運がよかったのか悪かったのか大きな傷にはならず、トータルの収支はややマイナスといったところでした。並行して株式投資の勉強を始めましたが、おいそれと知識が深まることはなくて、悶々とした日々が過ぎていきました」