高齢者は資産があっても「使わない」
年を取るとお金を使えなくなってしまう
井戸さんはこれまで取材で“お金を使い切れない人”を見てきた。
「不安に駆られて貯め込み、使えずにずっと節約していた人もいました。また、3億円の資産を持つ男性が認知症になってしまって、特養に入って身寄りもなく引き出すこともできなくなったケースもありました。きっと国庫に納められたんでしょうね。老後が長いからと心配する人が多いですが、年をとったらできないことがどんどん増えて、お金を全然使えなくなってしまうんです」(井戸さん)
僧侶で実業家の愛葉宣明さんは、お金は生きているときしか意味がないと話す。
「使い切って死ぬというのが理想です。お金は死んでしまったらなんの意味もなしません。子供や孫に残せると考える人もいると思いますが、それが相続トラブルに発展しないとは限りません。自分の意思でコントロールできるうちに好きに使うことこそが豊かさであり、幸せを感じられます。
それに、人生には3つの坂があり、上り坂、下り坂、まさかといって、いつ自分が死ぬかは誰にもわかりません。病気で寝たきりになってしまうことだってある。健康でいるうちにどんどん使った方がいいんです。先延ばしにすればするほど健康リスクは上がっていきますから」
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