おつまみから麺や丼までなんでもある
あまりにも魅惑的なメニューの数々
ここは店名にもあるとおり、食堂である。
さっそく瓶ビールを頼み、「遅れちゃって、ごめんなさい」と遅刻の謝罪をしたのは、最初の1杯を飲んだ後である。うまい。蘇った気がする。店内の席はすでにして半分くらいは埋まっているだろうか。いや、もっと入っている。そう、これが「三ちゃん食堂」の、いつもの開店風景だ。
新丸子は東京から横浜へ向かう東横線が多摩川を渡ったところにある駅だ。奥多摩から川崎まで多摩川に沿って歩きながら店を探し、ときには河原や公園で酒を飲みつないでひたすら歩くという酔狂企画を実践していた頃、知った。
それ以来、たまに来る。そして、来るたびに懐かしく、丸子橋を渡って東京都へ入り、多摩川の河川敷で寝転ぶなんてことも、暑くも寒くもない季節には最高の楽しみだが、ぶらぶら歩きの途中で「三ちゃん食堂」に寄ることは、この界隈を歩く楽しみの中核にある。
では、メニューをざっくり見渡してみようか。軽いおつまみ系は、冷奴、おひたし、トマト、塩辛、マカロニサラダ、ポテトサラダなどが並び、揚げ物に目をやれば、天ぷらはイカ、キス、エビにちくわ、そこにコロッケ、メンチカツ、アジフライと続く。その横、さらに目を向けると唐揚げ、シューマイ、銀鮭焼き、目玉焼き、そして中華系に突入して、酢豚、かに玉、ラーメン、タンメン、サンマーメンに、おお! 私の心を鷲掴みにする、もやしそば。やきそばもソースに塩、揚げと種類を揃え、極めつけは丼系で、カツ丼、親子丼、天丼、中華丼、焼肉丼などがずらり。どれも喰いたい。しかし、還暦過ぎのワタクシ、残念ながら食は細くなっている。ここはケンちゃんの出番だろう。
この日の最初の一杯は「赤星」をセレクト
店の看板には大きく「三ちゃん食堂」とあり、その下、白字に赤い文字で大衆食堂の4文字が並ぶ。まさに大衆の空腹を癒すための料理の数々をずらりと並べて待っていてくれるのだ。
このお店は昼酒目的で訪れている人も少なくない。リタイヤ組と思われる諸先輩方だけでなく、私らのような中高年もいれば、お仕事帰りの若手の方々もいる。昨今は夜の勤務の方も多いと聞くし、シフトによって平日がお休みの人もいる。だから、客層を分類しようとしても、なかなかぴったりこない感じがある。ただひとつ言えるのは、ここで食べたい、ここで飲みたい、と思う人々が正午の開店を目指してやってきている、ということだ。