夫の遺族年金より自分の年金繰り下げ
老後の自分資産の大きな柱の1つは、やはり自分の年金。「繰り下げ」を選んで受給開始を1か月遅らせるごとに0.7%増額されるため、最大の75才まで繰り下げれば184%にもなる。だが、ただ繰り下げればいいわけではない。
「年金繰り下げを検討する際に重要なのは“受給総額でいくら得するか”ではなく“お金が必要なときに受け取れるか”。健康寿命から考えて、女性は70才以降に医療や介護のお金がかさみやすいため、繰り下げは70~72才頃までがいいでしょう。
仕事をしているなら、何才まで働くかを考えましょう。繰り下げるほど受給額は増えるので、働いている間は繰り下げるのがおすすめ」(井戸さん・以下同)
特に厚生年金は金額が大きいので、生活のために基礎年金を受け取りながらも厚生年金は繰り下げるのも1つの手だ。
「専業主婦でもなるべく繰り下げる方がいいので、可能な限り夫の給与と年金で暮らしながら、自分の基礎年金を少しでも繰り下げておきましょう」
女性の方が平均寿命が長いため、夫に先立たれることを覚悟している人は少なくない。だが、井戸さんは、「夫の遺族年金に期待しすぎて後悔している女性が多い」と話す。
「遺族年金の支給額は夫の老齢厚生年金の75%しかありません。夫の遺族年金と自分の基礎年金しかない女性は住民税非課税になることが多いのですが、かといって手元に入ってくる年金は月にわずか10万~11万円ほど。これだけで生活するのは難しいでしょう。自分の年金の受け取り方をしっかり考えるべきです」
(第2回につづく)
※女性セブン2025年12月4日号