実需を重視してマンションを販売する動きも(写真:イメージマート)
東京都心部で驚くほどのマンション価格上昇が続いている。不動産経済研究所が11月20日に発表したところでは、10月に東京23区で販売された新築マンション1戸あたりの平均価格は1億5000万円を超えた。こうした流れを専門家はどう見るのか。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏(オラガ総研代表)に聞いた。
現在の“不動産バブル”にも見える状況について、牧野氏は「投資マネーが実需を飲み込んでいる」と表現する。金融緩和政策のもとでの低金利、為替安(円安)が海外からも日本の不動産に投資マネーを呼び込んでいるわけだが、それはつまり「金融マーケットの動向次第で、投資マネーが引き揚げる可能性を孕んでいる」(牧野氏)とも言えるのだという。
「積極財政や金融緩和を掲げる高市政権が誕生しましたが、政策推進にも理想と現実がある。現実的には為替相場が1ドル=155円ぐらいになると、さすがに放置して物価高が続くことへの批判が高まる。そうしたことが金融引き締めの利上げに転じるきっかけになるわけです。投資マネーは所詮、投資なので、みんなが同じ方向を見ている時には気持ちよくマネーが集まりますが、この場を降りる、いったんステイするという人が増えてくると、今まで通りには伸びないでしょう。そういう世界なのです。
不動産投資の場合、投資対象から得られる家賃収入などを不動産価格で割った期待利回りが重視される。期待利回りが年3%でいいという時代もあれば、5%でないとやっていられないという時代もある。中長期的には調整を挟みながら価格が上昇していくはずだ、という視野とは別に、物件の予約だけして権利を転売していくような明らかに投機的な動きは、不動産投資が盛り上がる時代でなくなれば落ち着いてしまう」(以下、「」内コメントは牧野氏)
