高市早苗首相が進める積極財政のリスクを検証する(時事通信フォト)
高市早苗首相が打ち出した約12兆円の赤字国債発行が盛り込まれた総額21.3兆円の大型経済対策に対し、大メディアでは「財政破綻を招く」「インフレを助長する」「株安、円安、国債安のトリプル安を招き、金融危機につながる」との指摘がなされている。そんななか11月25日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)でコメンテーターの玉川徹氏、朝日新聞の原真人・編集委員と、高市内閣で政府の経済財政諮問会議の民間議員に起用された永濱利廣氏(第一生命経済研究所首席エコノミスト)が高市財政について激論を戦わせた。改めて永濱氏にトリプル安は起きていないと反論した真意について問うた。
イギリスのトラスショックとは違うという根拠
──番組では高市財政とトラスショックの関係も議論になった。英国のトラス元首相が2022年に財政規律を度外視した大型減税を発表すると、株価暴落、国債暴落、ポンド暴落の金融危機が起きたことから「トラスショック」と呼ばれる。高市首相の経済対策発表後、日本でも株安、円安、国債価格低下の「トリプル安」が起きたことを玉川氏は「ミニ・トラスショック」と指摘したが、永濱氏はトリプル安ではないと反論した。
正確には高市経済対策で明確なトリプル安にはなっていません。11月20日に経済対策の規模(金額)だけが報じられると国債価格が下がって長期金利がハネ上がりました。しかし、株価は1000円ほど上がりました。
それ以前は、株価は下がっていましたが、主な理由は、米国のFRBが12月は利下げしないかもという観測が市場に広がったからです。米国の利下げ観測が低下すれば為替もドル高・円安に振れ、日本はトリプル安になりやすい傾向にありました。しかし、市場ではFRBが利下げするとの観測が再び強まり、日銀の利上げ観測も出たため、現在は円高に向いています。英国の財政への信認が下がって起きたトラスショックとは異なります。
