モデルハウスは“フルオプション”になっている場合が多いので要注意(イメージ)
人生において、購入に一大決心が必要となる「家」。建て売りではなく、自分でオプションを考えることができる注文住宅なら、理想の暮らしへの第一歩……と思いきや、後年になって「付けなきゃよかった」と後悔する人は少なくない。
前編記事ではバーカウンター、ビルトイン食器洗浄機、床下収納など、納得のうえで付けたキッチンまわりのオプションが、今やすっかり無用の長物になってしまったという人たちに話を聞いた。後編記事ではそうしたオプションを売る側の話を聞く。【前後編の後編。前編から読む】
注文住宅の「オプション」の仕組み
注文住宅の「オプション」とは、家の外装・内装・設備などにおいて、ハウスメーカーが基準とする「標準仕様」の変更や追加などを客側が選べる仕組みのこと。標準仕様よりもデザイン性や機能性が高く、グレードアップできることが特徴だ。用意されるオプションの種類はハウスメーカーによってさまざまだが、当然、オプションは付ければ付けるほど料金がアップする。たとえばキッチンであれば、ビルトイン食器洗い乾燥機(食洗機)、ビルトインオーブン、人造大理石カウンター、タッチレス水栓など。欲張れば、あっという間に追加で数十万円以上はかかる。
自分でカスタマイズできるチャンスとなれば、あれもこれもと理想の暮らしを追求したくなるものだが、元・大手不動産業者勤務のYさん(50代/男性)は“売る側の本音”をこう話す。
「マンションでも戸建てでも条件は同じですが、“お得感”を求めるならオプションは最小限にするべきでしょう。標準仕様ならスケールメリットが働き、それなりのクオリティのものが適正価格で手に入りますが、オプションは施工費なども含めてどうしても割高感が生じる。ですので、売る側からすれば、いかにオプションを付けさせるかが勝負です」
オプションを付けさせるテクニックがあるという。
「ベタなやり方は、マイホーム全体の見積もりの額を値引きし、その分をオプションに回させる方法です。『せっかくお買いになられるのですから……』『一生お住まいになられるのなら……』『完成してからでは設置はできません』と言われれば、迷わないお客様はいません。『今なら○○万円ですが、これ以降ですと料金は△△万円になります』と即断を迫るやり方も鉄板です。そもそも価格の相場が分かりにくいですし、家という大きな金額のものの前では感覚が麻痺してしまうことも多いようです」
