パチンコ・パチスロで機種の不具合が発覚した場合、メーカーや販売会社がホールへの補償を行うケースが多い(写真:イメージマート)
全国のパチンコホールにおいて、とあるパチスロ機が稼働停止になるという出来事があった。ネット上では、攻略法発覚がその理由だとも言われているが、いったい何があったのか。【前後編の前編】
異変が発覚したのは、11月19日のことだった。多数のパチンコホールがSNSにて、パチスロ機『L荒野のコトブキ飛行隊』(スパイキー)の稼働を停止すると一斉に報告したのだ。理由の詳細は明かされず、ネット上ではさまざまな憶測が飛び交う事態となった。パチスロ事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏はこう話す。
「特定のパチンコ機やパチスロ機が、全国的に同時に稼働停止になったケースは過去にもあります。原因は、『その機種に何らかの不具合が見つかった』、『出玉性能が想定を超える射幸性だったため、メーカー側が自主回収を決めた』など。今回の『L荒野のコトブキ飛行隊』は、一部ネット上で“攻略法のようなもの”の存在が囁かれており、それが原因でした。11月19日に同機種の販売会社から購入したホールへ連絡が入り、多くのホールが稼働停止にしたとのことです」(以下同)
“攻略法のようなもの”とは、どんなものか。
「攻略法というと、“ある手順を踏むことで大当たりが引ける”といったイメージですが、今回発覚したのは、“ある特定の打ち方をすると通常よりも出玉率が高くなる”というものです。“出玉システムにおける設計上のミス”のようなものと言えるでしょう」
全国のホールで稼動が停止したことで、ネット上では「攻略法発覚か!」と大きな注目を集めることに。YouTubeでは、その“攻略法のようなもの”の効果を検証する実戦動画なども登場した。
今の時代では異例の不具合発覚
今回のようにパチスロで出玉率が高まる可能性がある不具合が発覚し、全国のホールが稼働を停止するのは、近年では珍しいケースだという。
「1990年代半ばくらいまでは、パチンコ・パチスロ機の開発ノウハウが発展途上であったため、致命的なバグが見つかることもしばしばありました。ルールを逸脱した出玉性能を備えていた機種が存在していたこともあります。しかし、機種の開発ノウハウが洗練されたことで、攻略法につながるような不具合は激減。業界のコンプライアンス意識も高まるなかで、ルールを破るような機種も減ってきました。また、かつては“裏モノ”と呼ばれる違法に改造されたパチンコ・パチスロ機がホールに並ぶこともあり、裏モノ向けの攻略法もありましたが、現在はそういったものもほとんど見かけなくなっています。だからこそ、今回の騒動は異例の事態でした」
今の時代では珍しい稼働停止となった『L荒野のコトブキ飛行隊』だが、ユーザーに対する影響は限定的だったようだ。
「『L荒野のコトブキ飛行隊』は10月下旬にホールに導入された機種で、導入から1か月ほどで稼働停止となりました。まだまだ新台と呼べる時期でしたが、正直、ユーザーからの支持はそこまで得られておらず、稼働もあまり芳しくなかった。そもそも“客を呼べる機種”ではなかったため、稼働停止でもユーザーに対する影響は小さかったと言えます。
“攻略法のようなもの”についても、たしかにネット上に情報はありましたが、それらが大きく広まっていたわけではありません。全国的に広く知られる前に、販売会社が対策したという形です」
