お金を貯めるだけでなく、目的を決めて使うことも大切(イメージ)
老後に必要なお金はいくらか──。そんなことを考え、お金に対する不安を抱える人も少なくないだろうが、一方で高齢者ほどお金を使わない傾向がある。老後を豊かに、悔いなく過ごすためには、老後資金を使うべきなのではないか。老後資金の上手な使い方について紹介する。【前後編の後編】
「やりたいことリスト」を作る
老後資金をゼロにして最期を迎えるといっても、やみくもに使えばいいわけではないし、使えるわけでもない。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは「やりたいことリスト」の作成をすすめる。
「いちばんやってはいけないのは、先送りです。60才以降は“いつか”は来ない。体が元気なうちでなければできないことはどんどん増えます。いつか海外旅行に、いつか家族で温泉に、の『いつか』はいつなのかを明確にして必要な額を貯金したり計画を立てましょう。それが生きがいにもなるはずです。
やみくもにお金を貯め、貯めることが目的になると幸福度は下がります。旅行のために、欲しいモノを買うために、など目的を決めて貯めて、貯まったら使う。それが幸福度を高めます」
マネーコンサルタントの頼藤太希さんは、60才以降は「非地位財への積極的な支出」を推奨する。
「ブランド品や高級車、ハイブランドの宝飾品といった地位財は買った瞬間がピークで幸せは長続きしません。健康や社会のつながり、良好な人間関係の形成・持続、経験や思い出といった非地位財にお金を使うことが持続性の高い幸せが得られます。旅行や習い事、友人との食事などは計画的に、かつ積極的に行うといいですね。
脳の前頭葉には興味や創造性を司る働きがあり、加齢とともに衰えるにつれ社会への関心が薄れていきます。いつか海外旅行に行きたいと思っていても、70才、80才になったら体がついていかない以前に“行きたい”という意欲すらなくなってしまいます。“思い出持ち”になるためには、早めにお金を使うこと。70才、80才になったら必然的に支出はかなり抑えられるといってもいい」
シニア以降のお金の使い道としていま注目されるのが、「おてつたび」だ。
旅行しながら働くという新しい旅のスタイルは、60才以降のお金の使い道に適している。
「お手伝いと旅が重なった造語で、現地までの交通費は自腹ですが、宿泊代無料の代わりに現地で農作業や観光業の手伝いをする旅です。給料をもらえる『おてつたび』もあり、健康増進、認知症予防にも効果的。なによりひとり旅でも寂しくなく、現地で新しい出会いや世代を超えた交流も期待できます」(頼藤さん)
