大阪環状線を走る電車。JR西日本グループは、デジタル技術を活用した気象災害への対応や保線作業の省力化に取り組んでいる
現在、鉄道業界では、AIをはじめとするデジタル技術を活用して業務効率化を実現しようとする動きがある。本稿では、その例として、本年1月27日・28日に大阪で開催されたJR西日本グループの総合展示会「イノベーション&チャレンジデイ」の講演と展示の一部を、交通技術解説者・川辺謙一氏が紹介する。
気象災害の激甚化を語った3社
大雨で冠水した道路。大雨は、鉄道にも大きな影響を与える
講演のなかには、JR西日本、ソフトバンク、ウェザーニューズの社員が登壇したパネルディスカッションがあった。ソフトバンクは大手通信事業者で、ウェザーニューズは「ウェザーニュース」を運営する民間気象情報企業だ。演題は「イノベーションによるモビリティサービスの未来」で、激甚化する気象災害に対応する最新技術が語られた。
「激甚化する気象災害」。これについては、お気づきの方も多いだろう。近年は線状降水帯による豪雨や短時間の猛烈な雨、夏の異常高温が増えている。
鉄道にとって気象災害は、安全・安定輸送を脅かす喫緊の課題だ。このため、JR西日本のパネリストは気象災害による鉄道の被害、ウェザーニューズのパネリストは気象災害が激甚化する傾向を共有。いっぽうソフトバンクのパネリストは、AIの発達傾向を語り、気象災害時にも安定した通信や人流データを活用し、安全確保や運行再開に役立てていくという自社の使命について述べた。
パネルディスカッションに登壇した4人。左からJR西日本理事 鉄道本部副本部長 鉄道本部イノベーション本部長、ソフトバンク法人総括 鉄道事業推進本部本部長、ウェザーニューズの執行役員 道路・鉄道気象事業担当と気象予報士/キャスター
このパネルディスカッションでは、業種が異なる3社が協力して、デジタル技術を活用して激甚化する気象災害に立ち向かっていく意気込みが語られた。筆者はそれを見て、異業種コラボレーションが鉄道防災の新しいスタンダードになると予感した。


