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ソニーとホンダの次世代EV「アフィーラ」開発中止は必然だったのか 提携失敗の背後にある「根本的な2つの問題」 大前研一氏を唖然とさせた開発責任者のプレゼンテーション

ホンダはいつ自動運転レベル5(完全自動運転)に到達できるのか(イラスト/井川泰年)

ホンダはいつ自動運転レベル5(完全自動運転)に到達できるのか(イラスト/井川泰年)

 ソニー×ホンダの次世代EVの開発計画はなぜ頓挫してしまったのか。「根本的な問題は2つある」というのは経営コンサルタントの大前研一氏だ。これまでの本連載でも両社の提携に疑問を呈していた大前氏が、あらためてEV計画失敗の背景を分析する。

提携自体が“夢物語”になる可能性も

 ソニーグループと本田技研工業が共同出資するソニー・ホンダモビリティ(SHM)は3月25日、これまで取り組んでいたEV(電気自動車)の第1弾モデル「アフィーラ1」および第2弾モデルの開発と発売を中止すると発表した。

 2022年9月に設立されたSHMは、ソニーが持つ音楽や映画などエンターテインメントの知見とホンダの車づくりの技術を融合したEV開発を進めていた。

 しかし、ホンダは3月12日、アメリカでEV市場の成長スピードが大きく鈍化したことなどを理由に四輪電動化戦略を見直し、北米で生産を予定していたEV3車種の開発・発売の中止を決定したと発表。これに伴い、SHMはホンダの技術や生産設備を活用できない状況になったため、アフィーラを商品化することは難しいと判断したという。

 だが、私はソニーとホンダが2022年3月に提携を発表した当初から、この計画が挫折すると予想していた。その証拠に、SHMが設立される3か月前の同年6月に本連載で、両社の提携は「意味不明」「完全に“周回遅れ”」と断じている。

 その後、私が主宰する経営者のセミナーにSHMの開発責任者を招いてプレゼンテーションをしてもらったところ、「自動運転の車内がエンターテインメント対応のリビングルームになります」「全座席にディスプレイが付き、プレイステーションのゲームを楽しんだり、映画のスパイダーマンを観たりすることができます」という内容だった。

 私は唖然とした。プレステや映画鑑賞をわざわざ車の中でやる必要はないし、そういうコンセプトならソニーとホンダが共同開発する価値もないからだ。

 根本的な問題は大きく2つある。まず「ホンダはいつ自動運転レベル5(完全自動運転)に到達できるのか?」ということだ。現時点のホンダはレベル2+(高速道路での自動運転モード、追い越し機能など)で、将来的にレベル4(高度自動運転)を目指している段階だから、レベル5到達はテスラやBYD、Pony.ai、現代自動車などのほうが早いかもしれない。

 となれば、ソニーがホンダと提携する必然性はない。いち早くレベル5を実現したメーカーに“リビングルーム機能”を提供すればよいだけの話である。

 もう1つは、レベル5の車内でソニーが他にはない魅力的なコンテンツを提供できるのか、ということだ。ゲームならプレステではなく任天堂のスイッチ、映画なら『スパイダーマン』ではなくディズニー映画やアニメなど、ソニー以外にもエンタメの選択肢は多々あるから、ユーザーがソニーのコンテンツだけで満足するとは思えないのである。

 要するに、SHMはソニーとホンダが手を組むからこそ実現できる「レベル5の車の中でどのような胸躍る未来が描けるのか?」という発想力がなく、今あるものを組み合わせたに過ぎないのだ。「ソニー×ホンダ」を“夢の提携”と報じたメディアもあったが、今後の事業の方向性についてSHMは「引き続き両親会社と連携し、協議を継続していきます」と不透明感が滲む説明をしているので、このままいくと提携自体が“夢物語”になるだろう。

次のページ:レベル5の車内で何をするか?

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