年金がもらえるようになるまでどう凌ぐか(イメージ)
かつては60歳から年金がもらえていたが、いまは65歳から。今後はさらに後ろ倒しされる可能性もあるだろう。繰り下げ受給すれば将来もらえる年金額が増えると盛んに喧伝されるが、生活するうえで繰り下げする余裕などない人も少なくないのではないか。60歳以降も働かなければ生きていけない時代と言われるが、だからといって簡単に職が見つかるわけではない。年金受給前の「貧困60代」問題について、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏(52)が考察する。
月収は4万8000円、2年後からの年金受給を心待ちに
「お元気ですか?」のタイトルとともに久々に来た懐かしいメールアドレスからのメールを開けてみたら、愕然としました。20年前、フリーランスのグラフィックデザイナーとして時々一緒に仕事をしていた男性・A氏(63)からで、なんと「電気代のカンパ」のお願いでした。
最近は仕事はあまりなく、父親が残してくれたアパートで一人暮らしをしているとのこと。実家は売却しており、そのお金は現在高齢者施設に住む父親が持っているとのことです。話を聞くにつけ、2000万円ほどはあるのではないでしょうか。
しかし、A氏にそのお金は渡らず、仕事はほとんどなく、昔の仲間に頭を下げて、雑誌の6ページ分ほどを毎月デザインさせてもらっている状況。1ページあたり8000円で、月収は4万8000円です。他の仕事を獲得しようにも今の時代、雑誌のエディトリアルデザインの仕事など簡単には見つからず、糊口を凌ぐ日々が続いています。
現在63歳。あと2年すれば、4万8000円よりは多いであろう約6万9000円の国民年金がもらえるようになることをA氏は心待ちにしています。「厚生年金に入ったことはないけど、今の月収4万8000円と合わせれば11万7000円になる!」という状況です。
電気が止められると突然部屋が静かになる
さて、今回の電気代の滞納からの電気停止ですが、請求が来ても「ライフラインである以上、そう簡単には止められることはないだろう」と、ずっと放置していたのでしょう。私自身も20代の頃経験したことがあるのですが、突然部屋が静かになるんですよ。ふだんは意識していなかった冷蔵庫の音も消え、そこで慌てて冷凍庫のアイスクリームを食べたりする。
A氏の場合もそのような状況になったことが想像できます。ただ、当面は収入が増える見込みはない。電気代・ガス代・水道代に関する“基金”をなんとしても大勢から集めねば、と考え、少しでもツテのある人々にメールを書いたのでしょう。
元々友人が多い方なので、それなりに支援者は現れたと思います。1口2000円での振り込みですが、私は6000円を支払いました。ただ、恐らくこれからも支援依頼は来るでしょうが、そのときはどうするか。A氏もいつまでも人の好意に頼ってばかりはいられないと思うので、なにか抜本的に変えなければならない。年金をもらえるようになるまで、どう凌ぐか。不慣れな業種のバイトだろうとなんだろうと、収入を得る道を探さなければならないでしょう。
