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元リクルート戦士たちの挑戦
元楽天副社長・島田亨氏が明かす「元リクルート」の強み

電通・IBMを蹴ってリクルートに入社したのはなぜ? 元楽天副社長・島田亨氏が明かす「インテリジェンス創業秘話」とU-NEXT HD宇野康秀社長CEOとの出会い

採用に他社の10倍お金をかける

――当時のリクルートは江副さん(江副浩正氏、リクルート創業者)の指示で、コンピューター・通信事業に進出するため、国立大を中心に理系の新卒を1000人採ろうとしていて、国立大工学部の教授から「日立製作所や三菱重工業に行くはずだった研究室の学生がみんなリクルートに行ってしまう。これでいいのか」とクレームがついたほどです。

島田:あの頃は「一人採用するのに1000万円かけている」と言われていました(600万円との証言もある)から、1000人で100億円でしょ。他の会社は一人当たり100万円~150万円ですから、江副さんの採用にかける執念が分かります。面談のたびに、入れ替わり立ち替わりで社内のエース級が出てきて、リクルートでの仕事の面白さを語るわけです。「こんなすごい人たちと一緒に働けるのか」と。最後はあれにやられました。

――当時のリクルートは江副さんの方針で、営業部門でトップセールスの人たちが学生の面談に駆り出されました。管理職にすれば、商談の真っ最中にエースを引き抜かれるわけですからたまったもんじゃない。MLBにたとえれば、シーズン真っ最中に「来週は大谷翔平にスカウトをやってもらう」という感じ。監督は怒りますけど、スカウトされる選手にすれば、ショウヘイに「一緒にやろうぜ!」と言われたら、絶対ドジャースに入ります。

島田:あの頃のリクルートは、採用に凄まじいエネルギーを使っていました。同期の87年入社組には、いまリクルート・ホールディングスの会長をやっている峰岸(真澄)さんとか、オールアバウトを創業した江幡哲也さんとかがいて、一つ下に宇野さんたちがいた。本当に多士済々でした。

――入社して配属は?

島田:横浜支社の広告第一課です。全部で50人くらいいたと思いますが、支社長が33歳で、その下の課長が28歳、29歳。とにかく若い組織でしたね。PC制度(組織を少人数のプロフィット・センターに細分化して収益責任を持たせる方式)に課長という呼称はなくて「01(ゼロワン)」「02(ゼロツー)」と呼んでいましたが、私の課のゼロワンが病気になったので、新人の私がゼロワンになりました。

――本社から代わりの人が送られてくるわけではないのですか。

島田:ありませんでしたね。新入社員なのに、いきなり同期の女子1人とアルバイト3人の部下ができました。アルバイトの中には私より社歴の長い人もいたりして。

――仕事は誰に教わったのですか?

島田:見よう見まねです。隣の川崎営業所にアルバイトから正社員に転換した入社5年目の後藤さんという伝説の営業マンがいました。この人は、どうしても契約したいクライアントが見つかると、「行ってきます」と言って1週間くらい会社に来なくなる。

 ある時は、小田原の小さな印刷会社をターゲットに定め、そこの社長の自宅に「夜討ち朝駆け」(早朝から深夜まで、取材対象を追いかける)をしていました。そこで「御社はもっとこうした方がいい」と採用の提案をしまくるのです。

 すると相手の社長さんが「面白い奴だなあ」となって、「そんなに言うならウチの役員会に出てみろ」と言われる。1週間後には緻密な経営改革の提案書を持っていき、最後は5000万円の契約を取ってきました。

 この規模の会社からもらえる求人広告って、普通は500万円くらいなんですが、後藤さんは単に求人広告を取りに行っているのではなく、社長とがっぷり四つを組み、本気でその会社を成長させようとしていました。その過程で「こんな人材が必要だから、こういう広告を出しましょう」とやるわけです。

 中小企業の社長さんというのは意外と孤独で、迷っている時に「社長、今が踏ん張り時です。どんと行きましょう」と背中を押してくれる社員は滅多にいない。リクルートのトップ営業は、本気でクライアントのことを考えているから「行きましょう!」と言えるんです。それで本当にその会社が本当に成長するまで伴走する。

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