中国でも「AI相場」が沸騰している(Getty Images)
中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。中国でも沸騰する「AI相場」の次の展開についてレポートする。
3月末時点から大きく変わった時価総額上位
6月18日現在、本土A株銘柄の時価総額トップ10をみると、銀行、石油開発、白酒など長年にわたりランクインしているセクター銘柄に交じり、寧徳時代、工業富聯、中際旭創、寒武紀、新易盛といったハイテク5銘柄が加わっている(中国商報、6/21)。3月31日時点での時価総額トップ10ではハイテクセクターからは唯一、寧徳時代だけであったことを考えれば、この間の相場付きの変化は大きい。
5銘柄の事業内容を簡単に説明しておくと、寧徳時代は世界最大の動力電池メーカーだが、足元ではデータセンター向けを中心に蓄電池の販売を急速に伸ばしている。工業富聯は鴻海傘下の電子機器メーカーで、AIサーバーなどのクラウドコンピューティング設備、通信・モバイルネットワーク設備などを製造している。中際旭創はデータセンターの光ファイバーネットワークなどに必要不可欠な光通信モジュール、寒武紀は米国からの規制により輸入が制限されているNVIDIA製高性能AIチップの代替を目指し、AI半導体を製造している。また、新易盛はAIクラスター、クラウドデータセンターなどで使われる高速光相互接続製品を製造している。
こうしてみると、AI革命によるデータセンター建設の急増で恩恵を受ける銘柄ばかりが並んでいることがわかる。海外売上高を比べてみると、寒武紀は全て国内向けであるが、光通信がらみの新易盛は96%、中際旭創は91%が海外向けだ。工業富聯は44%、寧徳時代は31%が海外向けである。これらの銘柄は、国内のデータセンター建設需要だけでなく、米国など海外の需要も取り込み、業績が好転しており、それが時価総額ランキングの急上昇に繋がっている。
AI相場は「AIサーバーを作る企業」から次の領域に
データセンター投資拡大を軸として進むAI相場は既に、バッテリー、サーバー、光通信、AIチップといった中核的なハードウエア領域に浸透したといえる。今後の時価総額の拡大(株価の上昇)は「より広範囲でインフラのボトルネックとなるセクター銘柄」、「AIの応用、物理的な実装」へとシフトしていくと予想されよう。
もう少し具体的に言えば、「AIサーバーを作る企業」から「AIサーバーを動かすための基礎部品や素材」、「AIを物理的に実装するロボット関連」、「AIの恩恵を最も受けるB2Bアプリケーション企業」へと分散、拡大していくだろう。
