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「世界の鉄道指定券販売に革命をもたらした」日本が開発した鉄道座席予約システム「MARS-1」が世界的偉業として認定 PCがない時代に国鉄が取り組んだ“予約管理の自動化”への挑戦

銘板を贈呈するIEEEリージョン10の歴史委員長・尾上孝雄氏(写真中央)と、それを受け取る鉄道総合技術研究所理事長・渡辺郁夫氏。記念式典会場にて筆者撮影

銘板を贈呈するIEEEリージョン10の歴史委員長・尾上孝雄氏(写真中央)と、それを受け取る鉄道総合技術研究所理事長・渡辺郁夫氏。記念式典会場にて筆者撮影

 日本は、世界初の鉄道座席予約システム(MARS-1=マルス・ワン)を開発した国だ。2025年5月20日には、それがIEEE Milestone(アイ・トリプル・イー・マイルストーン)に認定され、2026年5月18日には、その記念式典が、東京の高輪ゲートウェイ駅に隣接するTAKANAWA GATEWAY CONVENTION CENTERで開催された。なぜ日本の鉄道で開発されたシステムが、このような認定を受けたのか。その理由と背景を、交通技術解説者・川辺謙一氏が解説する。

60年以上前に誕生したMARS

 現在JRグループでは、MARS(マルス)と呼ばれるオンラインシステムが導入されており、指定券類の予約管理・発券を実施している。その核となる中央制御装置は、座席予約情報等を自動的に管理する装置で、駅の窓口にある端末など)と接続している。現在はインターネットとも接続しているので、スマートフォンやパソコンでも座席予約等ができる。

 冒頭で紹介したMARS-1は、MARSの原点とも呼べる試作機だ。MARS-1は、1959年7月に完成し、1960年から国鉄(現・JRグループ)が運用を開始した。

東京駅の座席予約窓口の状況。1965年撮影。画像出典:日本国有鉄道百年写真史P422

東京駅の座席予約窓口の状況。1965年撮影。画像出典:日本国有鉄道百年写真史P422

手動だった情報の伝達や管理

 MARS-1が運用される前は、指定券の発券に時間を要し、誤発券がたびたび起きていた。その原因は、以下に示す情報の伝達や管理の手法にあった。

座席指定情報の管理センター。係員は、回転テーブルの予約台帳を確認し、空席情報を駅に電話で伝えていた。画像出典:日本国有鉄道百年写真史P422

座席指定情報の管理センター。係員は、回転テーブルの予約台帳を確認し、空席情報を駅に電話で伝えていた。画像出典:日本国有鉄道百年写真史P422

 旅客(鉄道利用者)が駅の窓口で座席予約を申し込むと、そこの係員が管理センターに電話をかける。管理センターの係員は、回転テーブルの上に置かれた予約台帳を取り出し、空き座席を探し、その座席番号を電話で駅の窓口に伝える。駅の窓口の係員は、座席番号を書き込んだ指定券を、旅客に販売する。つまり、現在ほとんど機械が処理している作業を、人力に頼って実施していたのだ。

 これらの手法では、作業に手間がかかるため、指定券の申し込みから発券までに長い時間を要した。また、伝達ミス等のヒューマンエラーによって、誤った情報が記載された指定券を発券する可能性もあった。

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