もし、遺言の内容が特定のプラスの財産だけを姪に遺贈するという特定遺贈の場合、姪はお兄さんの債務を承継しません。お兄さんのローンは法定相続人であるあなたやお姉さんが等分に承継して支払う義務があります。その場合は、姪が立て替えたローンの半分は、あなたの責任分ですから姪に返すべきです。姪は遺言でいいとこ取りしてあなたには負担ばかりが残って気の毒ですが、兄弟姉妹には遺留分がないのでやむを得ません。相続放棄の手続きをする必要があります。
次に、一切の財産を遺贈するという遺言であれば、姪は包括受遺者として相続人と同一の立場になり、実質的に単独の相続人になります。そこでお兄さんのローンの支払いは、立て替えではなく姪本人が相続した債務の弁済となるため彼女の負担は当然です。単独で相続した姪からの費用援助の要請である場合、これらの費用を援助する法的義務はありません。
しかし、相続手続きにお金がかかって生活ができないということだと親族間の扶養の問題といえます。法律上、扶養義務を当然に負うのは直系血族のほかは兄弟姉妹までで、姪・甥に対する関係では特に家庭裁判所が命じない限り扶養義務はありません。
一方で、お姉さんは母親ですから扶養義務があります。しかし母親といえども現在90代で、お兄さんの財産を相続した娘に自分の生活を犠牲にしてまでの扶養義務はありません。ゆとりがある範囲で援助すればよいと思います。
※女性セブン2026年7月9・16日号