麻辣湯ブームは定着していくのか(写真:イメージマート)
中国発祥のスープ料理「麻辣湯(マーラータン)」専門店の出店ラッシュが続いている。2010年代後半に韓国でブームが訪れ、日本でも2023年頃から専門店が次々とオープン。具材を自由に選び、辛さも調整できる健康志向のメニューとして、若年層を中心に人気が拡大している。
ブームを後押しする“経営側の事情”
人気の背景には、自分で作る楽しみ、野菜をたくさん摂れるヘルシーさ、見た目がカラフルで映える(=SNS向き)、1人でも食べられる等様々な理由が考えられるが、経営側の事情もブームを後押ししているのは間違いない。フードライターはこう話す。
「麻辣湯は業態として店を始めやすいのが特徴です。大きな厨房施設がいらないので狭いスペースで出店できますし、食材とスープさえ用意すれば良いので熟練した料理人は必要としません。調理工程がシンプルなので少人数で店を回せますし、食材は冷蔵ケースに並べておけばよいので、仕込み量を細かく予測する必要がありません。1人客が多いので回転率も良いですし、テイクアウトやデリバリーとの相性も悪くありません。
ぶっちゃけた話をすれば、利益率も良いです。野菜や春雨、豆腐など原価が安い食材を大量に用意し、具材を重量課金制にすることで客単価を上げやすい。人件費は他のジャンルの飲食店より抑えやすいですし、本部がスープを供給するため“仕込みは不要”と謳うチェーン店も存在します。これならバイトだけでも店は回りますから、どんどん増えるのも納得です」
一方でブームの“弊害”も現れ始めている。都内の庶民派タウンで酒の卸業を営むSさん(50代/男性)はこう話す。
「我が家の最寄り駅の商店街では、この2~3年で麻辣湯専門店が3店オープンしました。3店ともチェックしましたが、いずれも店主は飲食業未経験か異業種からの参入組でしたね。3店とも居抜き物件を活用しているので、開業資金はかなり抑えられたでしょう。
ただ、200~300メートルの商店街で3店は“限界”のようです。1軒目がオープンした時は、物珍しさから週末に行列ができることもありましたが、それも昔の話。今ではトッピング無料や割引キャンペーンによる客引き合戦が行われていて、地元の商店主たちは『最終的にはどこが生き残るのか』と、噂話をしています」
