大手チェーンの経営になり集客が復活
ホールの減少、そして経営法人の減少は、パチンコ業界の厳しい状況を表すものではあるが、皮肉なことにユーザーにとっては好影響もあるようだ。
「昔からあった近所のホールがコロナ禍を経て、とある大手チェーンの経営に変わってからは、そのホールに通う頻度が高くなっています」
そう話すのは、パチスロファンの会社員のAさん(都内在住40代男性)だ。
「15年前くらいまでは、最寄りの駅の周辺に5店舗ほどのパチンコホールがあったのですが、コロナ禍後は2店舗だけに。その残った2店舗のうちの1店舗の経営が変わって、大手ホールチェーンの傘下になったんです。そのホールは、元々とにかく『全然出ない』というイメージで、基本的に行くことはなかったんですが、他のホールもなくなってしまったので、仕方なくそこに通い始めたら、意外と悪くない。パチスロの設定(店側が出玉率を決める機能。設定が高いとユーザー側が勝つ可能性が高くなる)の状況も良くて、意外と遊べる。それまでは“ぼったくり店”という感じでしたが、経営が変わって明らかに“優良店”になりました」(Aさん)
Aさんが通うホールのように、大手チェーンの経営になって、営業方針が大きく変わり、集客が復活することは珍しくないという。藤井氏はこう話す。
「ユーザーに支持されるホールは“出玉でサービス”をするホールです。特に“熱いイベント”を開催し、その時にしっかり出玉で還元するホールは、信頼度が高いホールとして、常連客がつきやすい。大手ホールチェーンであれば、グループ全体である程度の売上を確保できているので、“集客のための熱いイベント”を開催することも可能ですが、たとえば地域で数店舗を経営する中小規模の法人の場合、そのホールでしっかり利益を出す必要があり、ホール側が大きくマイナスになるような形での出玉サービスを伴うイベントは開催しづらい。そういった事情があるので、大手チェーンが経営するホールのほうが、ユーザーに出玉でサービスしやすいんです。ユーザーにとってこの点は、経営が大手チェーンに変わることの大きなメリットです」(藤井氏、以下「」内同)
人気の新台を導入できない中小ホールが陥る悪循環
ホールの経営において、最大の問題となるのが新台の導入だ。多くのホールでは、集客に向けて1台50万円から60万円ほどの新台を購入せざるを得ない。
「集客のためには、新台の導入は欠かせない施策です。注目度の高い新機種であれば、それを打ちたいというユーザーが来店しますからね。導入する新台の数は、機種によっても変わってきますが、期待度の高い新機種の場合、一気に10台から20台くらい導入することも多い。つまり、新台入れ替えのために、毎週のように数百万円以上の予算が必要になるということです。
潤沢な予算がない中小規模のホールだと、新台入れ替えにお金を回せず、古い機種だけで営業をしなくてはならない。そうなると、やはり集客も難しく、売上も低迷。出玉でのサービスも難しくなり、よりいっそう集客が難しくなる。こういった悪循環に陥ってしまうケースが多いわけです」
さらに、人気の高い新機種は、大手ホールチェーンに優先的に販売されることもあるという。
「それなりの集客が見込めるような注目度の高い新機種は、ホール同士で争奪戦になることも珍しくない。そうなると、少ない台数しか購入しない中小のホールよりも、多くの台数を購入する大手ホールチェーンが優先され、中小の法人に新台が回ってこないといったこともあるんです。それまであまり注目度の高い新機種を導入しなかったホールが、大手チェーンの経営に変わっていち早く新機種を導入するようになるというパターンもよくあります。経営が大手チェーンになって注目の新台を打つチャンスが増えるのであれば、ユーザーにとってもうれしいことでしょう」