自炊にとらわれない「本当の節約術」を考えたい(イメージ)
長引く食品価格の高騰は家計を圧迫し続け、昨年のエンゲル係数は44年ぶりの高水準を記録した。「自炊がいちばんの節約」「激安スーパーの総菜が最強」「シニア世帯は外食がコスパよし」──食費をめぐる常識が変化を迎えるいま、“本当にお得な食事術”とはどのようなものか。【前後編の前編】
せっせと自炊を頑張っても節約につながらない…
帝国データバンクによると、9月は4531品目の飲食料品の値上げが予定され、10月にも2700品目以上の値上げが見込まれている。食卓を直撃する物価高はこれからも続くと予想するのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんだ。
「ウクライナ戦争や中東危機による原材料高や包装・資材価格の上昇に加えて、自然災害があった熊本や千葉で農作物がとれない影響で食品は今後も値上げが続くはず。この先も食費の上昇は避けられません」
そんな状況に都内在住の女性・Aさん(65才)が肩を落としてつぶやく。
「先日、コンビニでお昼ご飯をすませようと、おにぎりとサラダ、ゆで卵を買っただけで1000円を超えました。びっくりして、やっぱり自分で作った方が安いと、夫と2人分の食材を買い込み“5000円くらいかな”とレジに並んだら、会計が1万円近くになってビックリ。
子供が独立して家を出たので、食事を用意しても食べるのは私と夫だけ。毎日料理するのは面倒ですが、外食やお総菜より自分で作った方が安いと言い聞かせ、せっせと自炊を頑張っているのに食費は減るどころか増えるばかり。一体どうすればいいのやら……」
Aさんのように、物価高で家計を圧迫し続ける食費に悩む人は少なくない。しかし、そもそも「自炊は安い、外食は高い」という認識こそが思い込みかもしれない。節約研究家の小松美和さんが説明する。
「食品の高騰が続くなか、自炊=節約と考えるのは誤りです。特にシニア世代で1~2人暮らしの家庭は食べる量が少なく、自炊が必ずしも得ではない。物価高に加えて、肉や魚、野菜などを少量パックで購入すると単価が高く、コスパが悪くなりがちです」
酢豚
例えば酢豚の場合、自炊ならにんじん、玉ねぎ、ピーマン、豚バラ肉で1人分300円ほど。外食は1000円程度で一見すると自炊に軍配があがるものの、総合的な評価は分かれる。
「自炊には“使い切れないリスク”が常にある。特に食品ロスが多いのが野菜で、安く買えたとしても食べ切れずに半分捨てたら節約になりません。さらに調理の際に必要な調味料や光熱費のコスト、調理時間や手間まで考えたら、必ずしも自炊のコスパ、タイパが優れているとはいえません」(小松さん・以下同)

