認知症になった女性が住んでいた家の中(提供写真)
太田プロダクションの同期芸人・落合隆治さん(ぐりんぴーす)と柴田賢佑さん(六六三六)が共同代表を務める「お片付けブラザーズ」。さまざまな家や施設に足を運び、汚部屋やゴミ屋敷、遺品整理など、片付け・不用品回収を行うプロジェクトだ。日々奔走する現場には、それぞれの“ドラマ”がある。今回は、60代の男性からの依頼で、亡くなった母が住んでいた実家の片付けを手伝った時のエピソードを紹介する。
届かなかった「還暦おめでとう」
──実家の片付けに苦労しているという話は、よく聞きます。
柴田:私たちの仕事も増えています。先日、5年前ほどまで母親が一人暮らしをしていた実家の片付けを、と60代の息子さんに依頼された現場では、大量のメモが見つかりました。認知症の方が住まわれていた家の片付けでは、メモがたくさん残されていることがよくあります。
──どんなことが書かれているのでしょうか。
柴田:日常生活のあらゆることです。何を買うかとか、病院へ電話するとか、冷蔵庫にある卵を食べるとか、タオルを洗うとか、生活するためにやろうと思ったこと全部。先ほど話した実家の片付けでは、自分の認知症が進んできたのを分かっていらしたのではないかな、と思うようなものも残されていました。というのも、認知症予防や対策についての書籍がたくさんあったんです。その他、封筒に家族や親戚にあてた誕生日などのご祝儀と手紙がいくつも見つかりました。
──届けられなかった手紙が何通もあったんですね。
柴田:息子さん宛の手紙もありました。片付けで発見し、息子さんにお渡ししたら、お祝い金と一緒に「還暦おめでとう」というメッセージがあって……。息子さんは泣き崩れていましたね。
息子さんは、一人暮らしが難しくなったからと母親を引き取って最期まで看取るまでを含め、5年くらい気持ちの整理がつかなくて、やっと僕たちに依頼があったんです。もっと早く片付けていれば、母親が生きているうちに感謝を伝えられたかもしれない、元気だったときにもっと気にかけていたら認知症の進行が違っていたんじゃないか、など色々と考えてしまったようでした。
