住まい・不動産

銘菓も名所もないのに… 埼玉県民が「住みたい街」躍進に違和感

千葉への対抗意識より深刻な「内部対立」

 Aさん同様、「住みたい街ランキング」に違和感を覚えるのは、さいたま市内で飲食店を経営する40代男性B氏(生まれも育ちも大宮)だ。が、どうも意味が違うらしい。B氏は「浦和が10位以内にいるのが、ちょっと……」という。

 映画『翔んで埼玉』では、「関東三番手」をめぐり埼玉県民と千葉県民が争う姿が描かれているが、実は県庁所在地のさいたま市内部では、合併前の旧浦和市と旧大宮市の諍いのほうがずっと根が深いようだ(同じくさいたま市となった旧与野市のことは、ここでは触れない)。

 B氏は旧浦和市民と旧大宮市民の間に対向意識が強いことについて、「よくそう言われるけど、浦和が一方的に大宮に対抗心を持っているだけでしょ」と前置きしながら、その後10分以上、「浦和ディスり」が止まらなくなった。以下に抄録する。

「浦和はもともと県庁所在地がある古い街だから、自分たちが一番、というプライドがある。文教都市を売りにしているけど、誇れるものが文化や歴史など形のない物ばかり。大宮は浦和に比べて新しい土地だけど、新幹線の駅ができて以来、商業都市としては県内では揺るぎない地位をすでに築いた。置いていかれた浦和は大宮の成功に嫉妬しているのだろう。大宮としては、金持ち喧嘩せず、だ」

 そうした対立を象徴するのが、サッカーJリーグの浦和レッズと大宮アルディージャの関係だという。

「私自身はサッカーを観ないが、レッズサポーターがアルディージャを嫌っているのはよく知っている。名門クラブとしてのプライドが高いレッズサポーターは、後発組のアルディージャを見下しているのだろう。それにしても、レッズは応援歌からして『PRIDE OF URAWA』だから、手に負えない」(B氏)

 学生時代、通学先やアルバイト先として浦和にも大宮にもなじみの深かった記者としては、両者の対立には心が痛む。さいたま市内で映画さながらの抗争が勃発しないことを祈るばかりだ。

 Aさんは「住みたい街ランキング1位の横浜駅や2位の恵比寿駅の近くに住めるんなら住みたいですよ」と語っていたが、記者も同感である。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。