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「アニメで町おこし」、“聖地巡礼”客の急増で現地に困惑も

沼津市の商店街には大きなタペストリーが

沼津市の商店街には大きなタペストリーが

 地方都市の地域活性化策、最新の潮流は「アニメ」の活用だ。聖地巡礼のブームにあやかろうとする試みは全国各地で行なわれているが、簡単にはうまくいかないようで……。

「舞台が沼津と発表されたのは2015年でした。当時年間400万人だった観光客数はそれからわずか2年後には60万人以上も増え、“聖地”近くの観光案内所は利用者数が13倍にも膨れ上がりました」

 こう話すのは、静岡県沼津市観光戦略課の益田紀仁氏。きっかけは人気アニメ『ラブライブ!』の続編として2016年から放送が始まった『ラブライブ!サンシャイン!!』の舞台に同市が選ばれたことだった。

 9人の女子高校生が廃校を救うためアイドルを目指す物語は幅広いファン層を獲得。昨年末には出演声優のユニットが紅白歌合戦に出演した。

 こうした人気を受けて、登場人物の背景に描き込まれる学校や街並みを訪ねる“聖地巡礼”のファンたちが後を絶たない。観光学が専門の岡本健・近畿大准教授が解説する。

「全国各地の自治体が町おこしに苦慮する中、映像コンテンツを利用した観光客誘致は、作品のファンを地元に呼べる可能性を秘めています。NHKの大河ドラマの舞台となる都市への経済効果が放送の2年後には消えてしまうという傾向が最近の研究で報告されているのと比べると、アニメの聖地巡礼は放送後何年も継続して観光客を集める例が少なくありません」

 女子高生同士が戦車に乗り戦う異色の奮闘劇を描いた『ガールズ&パンツァー』の舞台である茨城県大洗町では、2012年の放送開始前には年間300万人だった観光客が放送を機に400万人を突破、テレビ放送終了から5年経った2018年も453万人(県内観光客動態調査)を維持している。

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