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子供の将来の収入を左右する「非認知能力」を育む6つのコツ

 ただしこのヘックマン教授の研究では、「幼児期に非認知能力を高める教育を受けた」ことが前提になっている。

「日頃から生徒を見ていて、どんな教育でも、いつ始めても遅いということはないのではないかという思いがありました。そこで幼児期に限定せず、中学生でも、非認知能力を高めることができるのではないかと考えたのです」

 西郷さんは、先の6つを教員と徹底して行ってきた。毎年4月には、小学校で管理教育を受けてきた子どもたちが、中学校に入学してくる。当初は子ども自身のなかにも、“こうすべき”といった凝り固まったものが強く染みついている。そうした子どもたちが、桜丘中学校で過ごすうちに、どう変化していくのか。

「調査により、桜丘中学校の生徒は、関東圏11校の平均に比べて“自ら学ぶ意欲が高い”ということがわかりました」

“勉強をしないと怒られるからする”という動機づけで勉強をしても、学力が向上しないことがわかっている。それは芸術やスポーツも同様で、力を伸ばすためには、“自分にとって大切だから”、あるいは“面白いから”という理由で進んで学習したり習得しようとする必要がある。それが桜丘中学校の生徒はできているということになるわけだが、それはなぜか。

「教育学の専門家によれば、特にポジティブな感情を教室の中でオープンに表出することと、自発的な学習とに相関関係が見られるのだそうです。また、同じく関東圏11校の平均に比べて、桜丘中学校の生徒は、自尊感情、つまり自己肯定感がわずかに高いこともわかりました」

 教員から必要以上に干渉されない子どもたちは、感情を抑えつけられることなく、伸び伸びと自己表現ができる。また、言動を否定されることがほとんどないため、自信を傷つけられることもない。自己肯定感の高さは、学習意欲に結びつき、結果として学力の向上につながっている。

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