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コロナ禍の今こそ「ガンディーの経済学」が求められるワケ

 4つ目は、日本企業が販路を海外に求めたことだ。それは、輸出依存の企業が苦境に陥っていることだけにとどまらない。インバウンド需要に過度に依存したサービス業も、いま軒並み苦境に陥っている。そもそも今年の春節の時に、大量の中国人観光客を受け入れたことが、新型コロナウイルスの感染拡大に結び付いたことを忘れてはならない。

 今後、今回の新型コロナウイルスがいったん収束しても、インフルエンザのように毎年襲ってくる可能性があるし、また新たな感染症が現われる可能性もあるだろう。このままで行ったら、そのたびに世界に感染が広がって、経済や暮らしが深刻な影響を受けることになる。

「地産地消」に近い小規模分散型の経済

 それでは、どうしたらいいのか。私は、これからの経済や社会は行き過ぎたグローバル資本主義を捨てて、「ガンディーの経済学」を取り入れた経済構造やライフスタイルを実現すべきだと考えている。

 インド建国の父であるマハトマ・ガンディーは、自由貿易や近代工業化に反対した。私は当初、ガンディーは経済学を理解していないと思っていた。だが、それは誤りだった。ガンディーは貧困や格差をなくすための策を考え抜いた末に、たどり着いたのが「隣人の原理」つまり「近くの人を助けること」だった。

 大規模な工場を誘致しても、その工場で働く人しか貧困を脱することができない。また、勤労者の主体性は失われる。それよりも近所の人が作った農産物を食べ、近所の人が作った服を着て、近所の人が建てた家に住む。

 そうすれば、その地域に雇用が生まれ、経済が回りだす。そうした小規模分散型の経済を世界中に広げていけば、世界から貧困をなくせるとガンディーは考えたのだ。「地産地消」に近い考え方だが、これはグローバル資本主義への明確なアンチテーゼに他ならない。

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