中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

テレビはなぜ「演出」をするのか 現場から感じられる苦悩と傲慢さ

 何らかの発言を出演者がした場合に「この後、この方は〇〇と言っていました」などとスタジオのアナウンサーやMCが補足するような演出では、まどろっこしくなってしまいます。だから、その場の撮影で「制作側が求める決めゼリフ」を言うように求められるようになります。

 求められた側は「まぁ、そこまで全体の趣旨からは離れていないからいいか……」と、要望に応えることになります。何しろ、このまま「いや、そんな要求には従えませんよ。私は私の思ったことを言っただけです!」などと言ったら、目の前にいる若いディレクターがエラい人から「なんだよ、元々の構想通りになっていないじゃないか! 撮り直せよ!」なんて言われる可能性があるのでは……、と逆に心配になってしまうのです。

 テレビは雑誌とはケタ違いの人々が目にするわけで、より、多くの人に分かってもらえるようなコメントが必要になります。だからこそ「演出」が重要になってくるのです。

 コロナのせいでもう皆さんお忘れだとは思いますが、今年1月、ネットでの最大の話題は「タレント・木下優樹菜とサッカー選手・乾貴士の不倫疑惑」でした。

 この時、クローズアップされたのが、この疑惑を元々特定(?)したネット上の「鬼女」の存在です。ネット上の情報から点と点を結びつけ、一本の線にし、様々な疑惑の解明をしてきた人々です。

 かなり「誤爆」も多いですが、匿名掲示板・5ちゃんねるでは「日本のCIA」などとも言われています。

「こう言ってください!」

 当時、私もある雑誌で鬼女についてコメントを受け、自分の知り合いで過去に「鬼女」的な「特定作業」をしていた女性・Aさんのことも紹介しました。Aさんの経験談も含めて同誌の特集に掲載されたわけですが、雑誌発売後、この記事を読んだテレビの制作スタッフから私に電話があり、「鬼女の解説をしてください。あと、どなたか『鬼女』はご存じでないですか?」と聞かれました。

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