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「東京の人ですか?」 母の入院手続きに行った茨城の病院で告げられた言葉

「人の気持ちに即した対応をしてもらいたい」という、オバ記者こと野原広子

 病院では入口で検温と手の消毒をしたうえ、住所・氏名・要件を記入させられる。Mさんの書き込みを見た係の人は即座に、「東京からですか? こちらに来て何日目? ああ、今日来たばかりですか。では、今日は院内に入れません。2週間後に来てください」と言ったという。「いえ、検診を受けるのは私ではなく、両親です」と伝えると、「濃厚接触していますから、ご両親の検診もできません。このまま、県外に出ないで2週間後に来ていただけませんか?」と返されたそう。

 Mさんは、東京から飛行機代をかけ、仕事を休んで帰省している。そう簡単に引き下がれない。こんなこともあろうかと、PCR検査を受けてきたことを告げ、「もちろん結果はまだですが、その書類がこれです」と病院の職員に見せた。

 すると、「ほう、PCR検査を受けたということは、何か症状があったわけですよね?」「いえ、付き添いをするため、自主的に自費で受けてきました」「自費? いくらかかりました?」「3万4000円です」「ほう、エライですねー」

 Mさんがコロナ対策をキチンとしていることを説明しても、病院側の表情はどんどん硬くなり、「2週間後」を繰り返すばかり。この間、高齢の両親は硬い椅子に座ったままじっと待たされた。腹が立って仕方がないが、どうしようもない。家族3人でやむなく病院を出た。

 家に帰る途中、スーパーに寄ったら、親戚の人とバッタリ会った。すると、Mさんの顔を見た彼女は「キャーッ」と逃げるふりをした。相手が冗談半分だとわかってはいたが、Mさんはとても一緒に笑う気にはならなかった。東京から帰省した自分が原因で両親は検診を受けられず、行き場のない怒りとやりきれない失意を抱えていたところにコレだ。地方に住む多くの人たちが、「東京人は危険」という気持ちを持っていることを心底実感したという。

 で、わが母親だが、18日間の入院期間中、私は弟のスマホを通して“リモートお見舞い”をした。病室での会話はできないけれど、ピラピラと手を振り合った。リハビリのおかげで歩けるようになり、いったん退院したものの、5日後に今度は意識がもうろうとなり、いままた別の病院に入院している。

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